出版社内容情報
ロマン主義文学、いやフランス文学に燦然と輝く金字塔の新訳決定版全5冊。第2巻は脱獄後のジャン・ヴァルジャンがいよいよコゼットを救い出す。
内容説明
のちの重要な伏線となるワーテルローの戦い、その重厚な歴史語りをはさみ物語はつづく。ファンチーヌとの約束を果たすべくジャン・ヴァルジャンは脱獄、守銭奴テナルディエ夫婦の狡知からついにコゼットを救いだす。パリへの逃避行とジャヴェールの追跡、ふたりに刻々と迫る警察の完全包囲網、絶体絶命の苦境からの奇跡の脱出劇。
著者等紹介
ユゴー,ヴィクトール[ユゴー,ヴィクトール] [Hugo,Victor]
1802‐85。フランス19世紀を代表する詩人・作家。16歳で詩壇にデビュー、1830年劇作『エルナニ』の成功でロマン派の総帥になり、やがて政治活動をおこなうが、51年ナポレオン3世のクーデターに反対、70年まで19年間ガンジー島などに亡命。主要作の詩集『懲罰詩集』『静観詩集』や小説『レ・ミゼラブル』はこの時期に書かれた。帰国後、85年に死去、共和国政府によって国葬が営まれた
西永良成[ニシナガヨシナリ]
1944年富山県生まれ。東京外国語大学名誉教授。専門はフランス文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
46
死者となって修道院から脱出する場面は『モンテ・クリスト伯』を想起する。脱獄する、名前を変えて生き直すなど、同時期に書かれた『モンテ・クリスト伯』と共通点が多く、比較が出来る。一方は逃走し、他方は追跡する。その違いは前者が真実の罪で、後者が無実の罪のため追いかけられない、無実の罪に陥れた者を追いかけることによる。人間にはどちらの気質が備わっているかというと、逃走には違いない。人間は常に記憶という過去に追われ、期限という未来から逃れるために生きる。ヴァルジャンは決して弱者ではないが、スティグマが彼を苦しめる。2023/09/02
みつ
29
前巻の時代は1823年。この巻では、いきなり1861年のユゴー本人の旅行に飛び、そこからワーテルローの戦いが詳細に描かれる。この部分と女子修道院の描写、作者の哲学観を述べた部分が全体の4割ほどに及び、早く次の展開を知りたいと思う者(自分を含む)にとってはまどろっこしい。主人公がかつて少年から40スーを奪った罪でいったんは死刑を宣告される(後に終身刑に減刑)というのは驚き。前回は刑期満了で出所だったが、今回は脱獄からのコゼット救出。さらにはふたり追手を逃れる場面では『モンテ・クリスト伯』にも近い手段も取る。2024/11/12
朝乃湿原
14
「ふたつの原動力としての、信じ、愛するという力が無ければ、人間を出発点とも、進歩を目的とも理解できないということである。進歩は目的であり、理想は典型である。理想とはなにか?それは神である」ユゴーが以上を語るように、やはり『レ•ミゼラブル』の根底にあるのは、「信仰による、善き生き方とは何か」であるのだろう。ミリエル司教によって改心したジャン•ヴァルジャンはファンチーヌとの約束を守り、コゼットを救い出した。彼らの前に立ちはだかったのは、テナルディエ夫婦とジャヴェールである。両者とも信仰の気配は見られず、前者は2025/04/25
うぃっくす
12
ワーテルローと修道院のくだりが長い。特にワーテルローがもう後半訳わかんなくてつらかったけど大事なんだろな。テナルディエ夫婦とか貧乏な人たちがどこまでもさもしくてわたしも悲しくなった。コゼットとジャンヴァルジャンがやっと出会えて慎ましく暮らそうとしてるのに追われたりして忙しない。けどとりあえず何年かは幸せに暮らせたみたいでよかった。早く次を読まなければ…2023/10/19
読人
1
第二部はワーテルローと修道院の話がなかなかの難所。新訳といえど、ベースの知識が薄い話はそもそも読みずらくて手ごわい。前者は地名が不明瞭なのでグーグルマップやWikiで情報を補いながら読んだ。後者は架空の設定とのことなので斜め読み。第七編の形而上学のところでニーチェやショーペンハウアーについて名前を出さずに批判している。これらに170ページくらい割いているので、ページ数のわりにストーリー展開は遅め。いったん均衡状態で終わって第三部に。2023/09/04
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