出版社内容情報
平凡社ライブラリー創刊25周年企画、待望の『中世思想原典集成』文庫化(全7巻)。
第3巻は「ラテン中世の興隆1」。エリウゲナやアンセルムスほか。巻末エッセイは柳澤田実。
内容説明
カロリング・ルネサンスに屹立する清新な形而上学雄篇。スコラ学の祖アンセルムス、世俗権力と教権の相克の中、勃興する改革修道会における学知と霊性のあらたな息吹。
目次
書簡集(カール大帝)
ペリフュセオン(自然について)(ヨハネス・エリウゲナ)
書簡一一七―聖なる純朴について(ペトルス・ダミアニ)
プロスロギオン(カンタベリーのアンセルムス)
シャルトルーズ修道院慣習律(グイゴ)
愛の本性と尊厳について(サン=ティエリのギヨーム)
恩恵と自由意思について(クレルヴォーのベルナルドゥス)
書簡集(ペトルス・ウェネラビリス)
魂についての書簡(イサアク・デ・ステラ)
感想・レビュー
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roughfractus02
9
ゲルマン人の侵攻によるローマ帝国とラテン文化の荒廃に抗するカール大帝は、宗教と国家の結び付きを強化し、ラテン語の整備と保存と流通を変革するカロリング・ルネサンスを興した。修道士の日課の厳格化と図書館整備、巻物から書物への媒介の移行は、移動を容易にし、保存量を増大させ、農業革命での流通拡大に乗って帝国各地の教会建設を促す。古代の書物の復興はその詳細に至る議論を活発化させるが、地方の教会乱立によって解釈も世俗化し、聖俗の軋轢を抱えて後の政教分離に向かう。厳格で詳細な解釈を追求するスコラ学はその渦中で確立する。2020/03/15