出版社内容情報
中国から租借された植民地「関東州」に四姉妹の末として少女期を過ごした著者が、その甘くかつ苦い記憶を通して、具体的な細部とともにある植民地経験の意味をえぐり出し描き出す。解説=林淑美
内容説明
植民地で育つとはどういうことか?故郷とは呼べない故郷、懐かしさにくつろぐことを許さない記憶―「満洲国」に隣接する植民地・関東州のくらし。消えようとしている経験の意味をいま、しずかに語りのこす。
目次
粒ようのもの三つ
普蘭店―さくらんぼ・泥鰌・馬藺花
歌
ひとり遊びの時間
食べもの万華鏡
私には兄がいた
敗戦、そして引揚げまで
著者等紹介
藤森節子[フジモリセツコ]
1932年、「満洲」鉄嶺生まれ。名古屋大学文学部卒業。専攻、中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Narumi
1
1932年に関東州で生まれ、そこで47年に引き揚げるまで暮らしていた著者が、子供時代の思い出を語りながら、その頃に見聞きして記憶に残っていることが実際にはどういうことだったのか、その意味を探っていきます。どうしようもなく懐かしいのは中国の風景や食べ物でありながら、そこを再び訪れることを自らに禁じたという著者の心情が切ない。2018/11/29
tomomi_a
1
ひとりの生にも否応なく宿り、のしかかる歴史というもの。こんな風に歴史を知る回路が学校教育にもあれば、なにかがすこし、まともになるだろう。やわらかに瑞々しく、思い出と歴史を、紡ぎ、語る。2014/01/14