内容説明
鳥をうったり、碁をうったり、面白いことばかりにうち興じて古稀の手前、伊藤先生は自転車を始めた。病みおとろえた細腕・細脚に筋金を入れ、街中の危険をよぎり、田舎の急坂であえぎ、世の荒波を乗り越えて、ついにはお仲間引き連れ北海道自転車旅行に!―自転車文学シーンを一新した傑作エッセイの待望のライブラリー化。
目次
自転車に関するさまざまな見解
自転車が順繰りに増えて六台になった話
都内走行の巻
房州サイクリングに出かけて雨で挫折したこと
碓氷峠攻略をめざした長い一日の話
北海道自転車旅行の巻
著者等紹介
伊藤礼[イトウレイ]
1933年、東京生まれ。一橋大学経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キク
67
とんでもなく面白いおじいちゃんの自転車エッセイ。伊藤整の息子で大学教授だった著者が、定年後から自転車にはまる。高田純次的な洗練されたテキトウさと、あばれる君的なうざいマジメさで自転車に向き合う。ぜひ、前作の「自転車ぎこぎこ」から読んでほしい。「自転車の数は意思に反して急速に増えてゆく傾向があると発見した。いま自転車を六台所有しているが、最初の一台を買ってからまだ三年しかたっていない。複雑なる現代人の生活は常に整理の方向に向いているべきだと思うのだが、なかなかそうはいかないという一例である」イカした爺だ。2023/06/02
ああああ
13
私は旅行が好きだ。世界遺産を見に行くとか、バックパックひとつでどこへでもとか、美味食べ歩きとか、そういった目的的な旅じゃないのだけれど、なんでもない旅行が好きだ。それは旅行にまつわるあれやこれやの経緯そのものが楽しいからで、著者の伊藤礼翁がペットボトルの販売価格を気にしたり、地名の由来に思いをはせたり、自転車販売店で妙な格好つけをしたり、自分への言い訳を用意したりしつつ、自転車こぎこぎ楽しんでおられるのを読んで、そうそう、そうなんだよなあ~と勝手に共感しつつもニヤニヤした。2016/05/26
mami
10
定年間近。長らく勤めた学校まで自転車で行ってみるかと思い立つ。と、来ればせいぜい電車で2駅程度かと私は想像したのだが。それがまさかの12.5キロ。あれよあれよという間に所有する自転車は6台となり目的地もどんどん遠方になり。共に走るお友達がいることも羨ましい。サラリと書いているハプニングが「いやそれ大変なアクシデントじゃないですか」ということもしばしば。軽い文体が深刻さを吹き飛ばしてしまう。面白く読み終えました。2021/11/10
k-katayama
10
還暦を機に、ロードバイクを始めた私にとって、喜寿を迎えてもまだ現役ライダー、しかも意欲的にロングライドを楽しんでいらっしゃる著者に、大いに共感し敬意を表するものです。私なんか、この8カ月の間で、まだ、100kmライドを達成できずにいます。自転車だって、還暦レッドのロードバイクと、これを機に部品を集めて修理した、20年ほど前に購入したマウンテンバイクの2台っ切りです。金と時間と意欲の「投資」額の違いを痛感しますが、このように『冒険譚』を読まされると、ますます意欲が高まります。さあ、来年もますます精進すべし。2015/12/28
どらがあんこ
8
趣味に年齢は関係ないよなぁと。旅の本にありがちな説教臭さもなくていい。2020/11/30
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