平凡社ライブラリー
幻のアフリカ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 1065/高さ 17cm
  • 商品コード 9784582767056
  • NDC分類 955
  • Cコード C0339

内容説明

ダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団(一九三二‐三三年)―フランスに「職業的で専門化した民族学」が生まれた画期。本書は書記兼文書係としてレリスが綴ったその公的記録である。だが、客観的な日誌であるはずの内容には、省察(植民知主義への呪詛)、夢の断片や赤裸な告白(しばしば性的な)、創作家、等々が挿入され、科学的・学術的な民族誌への読者の期待はあっさり裏切られる。刊行当初は発禁の憂目にあったのも当然であるが、この無垢で誠実なレリスの裏切りのなかにこそ、大戦間期のアフリカが立ち現れる逆説、奇跡の民族誌。

著者等紹介

レリス,ミシェル[レリス,ミシェル][Leiris,Michel]
1901‐90。パリ生まれ。作家・民族学者。1924年、シュルレアリスム運動に参加。29年、ブルトンと対立しグループを脱退、バタイユ主幹の『ドキュマン』誌に協力。31年、ダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団参加、帰国後は人類博物館に勤務、民族学者の道を歩む。37年、バタイユ、カイヨワと社会学研究会を創立、第二次世界大戦勃発により活動は停止。戦中はレジスタンスに加わり、戦後、サルトルらと『レ・タン・モデルヌ』誌創刊(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

25
ダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団に参加したレリスが書いた公的な目的の私的な手記。作者は調査団の公的な日記を、意図的に私的な日記のように書いています。そのため本書のアフリカは、彼のアフリカへの憧憬と幻滅、民俗学への期待と違和感、夢(時に性的な)などと絡み合って神秘的に、またその神秘が醒めた姿として描かれます。しかしこの混沌のなかかから浮かび上がる、彼が「これこそアフリカだ」「失われていくあらゆるものの土地だ」という「エキゾチックな幻影」は、ある意味この時代のアフリカの真実の姿でもあると思われるのです。2016/09/05

スミス市松

24
一九三〇年代初頭のフランス人類学における国家的事業としてアフリカ大陸を横断した調査旅行録/極私的日記であり、読者をテクストとの同化へと引き込む鋭く危険な書物。私の場合、著者と同じくアフリカで日記を書きながら読むことで様々な側面から侵食されることとなった。まず、本書を通じて読者はテクスト上のアフリカを横断する。その過程で美しい風景や原住部族の驚異的な儀式・伝承の描写を読んで悦に浸る様は観光客そのものであり、剰え日記に引用することは村の祭儀に用いる仮面や呪物を「徴収」していく調査団の振る舞いと何ら変わりない。2021/07/23

ソナチネスナッチ

6
1年以上トイレに置いて、ウンコしに行く度に読んでるけど、まだ読み終えない素晴らしい本。引っ越すときに忘れないようにしないと。2011/11/25

roughfractus02

4
「主観を徹底することによって客観に辿り着く」と本書の目論見を要約する著者の記述がアブダクティブなのは二つの理由がある。まずダカール=ジブチの民族学調査において驚くべき現象から仮説を立て、そのありうる属性を挙げて、実際に検証・反証テストするという論理的意味で。次にその現象を再現するために現地人に儀式を強制し、神聖な道具を奪うフランス植民地主義の人間の収奪的行為(=誘拐)という政治的意味で。彼の目論見に反してその記述は可謬的強度を増す。儀式は正確さを欠き、恋する女も抱けず、真理にも対象にも辿り着くことはない。2017/08/28

hiratax

2
旅先でずっと読んでいた。 日記モノと旅は合う。2014/05/07

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