内容説明
「聖天さん」「馬頭観音」「不動明王」など、密教像は多くの日本人に親しまれてきた。これらをインドの古代文化に遡り、密教の神々の文化的、歴史的意味を根本から解き明かす。
目次
第1章 月天(薬師如来;方法 ほか)
第2章 観音(観音とはなにか;観音の功徳 ほか)
第3章 聖天(聖天信仰の伝来;聖天とはなにか ほか)
第4章 明王(怒れる神々;明王の意味 ほか)
著者等紹介
佐藤任[サトウタモツ]
1932年、広島市生まれ。45年、広島にて被爆。広島大学中退後、高野山大学に入学し、62年同大学院修士課程修了。73年以降、大阪府河内長野市で茶店「阿修羅窟」を経営のかたわら、研究・執筆・翻訳に従事する。インド学仏教学会・日本宗教学会・アーユルヴェーダ研究会・金属鉱山研究会・虚無僧研究会・形の文化会・医学史研究会などに所属した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いちはじめ
3
密教の神々の源流を文化人類学の知見などもまじえて探る。アプローチの方向性はよいと思うが、万人に納得のいく結論には至らないだろうなとも思う2009/08/31
Kaname Funakoshi
1
月天(月光菩薩)、観音、聖天、明王について、仏教発生時期のインドまで遡った由緒を辿る。なぜ観音は女性的であり男性的であるのか、なぜ聖天は象なのか、あの神様とシバや帝釈天の関係など。2023/03/14
in medio tutissimus ibis.
1
密教における月天(チャンドラ)、観音、聖天(ガネーシャ)、明王らの古代インドにおけるルーツを探る。これまで全く知らない世界だったので、非常にワクワクさせられた反面、語られた説が妥当かどうかは判断しかねる。概ねこれらの原型をアーリヤ的男性原理が台頭し追いやられた呪術的ドラヴィダ的女性原理に求める傾向にあったように思う。古代社会を考察するにあたって、マルクス・レーニン主義的な臭いの強い文献が目立ったようだったが、私にはその登場がいささか唐突に想えたので印象に残った。浅学ゆえ、理論の当否は判断し難い。 2015/05/11
ゆう
1
未整理の知識が羅列されてる感じが南方熊楠を思い起こさせる。人類学ではよくあるテーマを、仏教に当てはめたのが新しい(かった)ということなんやろか2014/05/22
釈聴音
1
歓喜天の起源を探って行くと「鼠トーテム」の部族と「象トーテム」の部族との抗争と制圧、さらに侵入してきたアーリア人階級によって在来部族の神々が「征服」されて下位の神になる、など宗教学的にはかなり「オーソドックス」な内容。手法も言語学を利用して起源に遡っていくというもので古典的と言ってもよい手堅い内容。2013/02/04