平凡社ライブラリー
中国怪異譚 閲微草堂筆記〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 417p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582766431
  • NDC分類 923.6
  • Cコード C0398

内容説明

金持ちの商人から金を巻き上げた芸者に、友だちの狐が仕返しをする話、博打に負けて首をくくろうとした息子を、父親の幽霊が助け金を取り戻す話等々、人間は死ねばすべて鬼となると考えられていた清時代の人間と幽霊と狐をめぐる怪異譚が満載。『聊斎志異』と双壁をなす志怪小説の代表作。

著者等紹介

紀〓[キイン]
1724‐1805。清代中期の学者、直隷省河間府の名門の生まれ。1754年進士に及第し、翰林院編修から侍読学士に累進した。68年罪に問われ、ウルムチに流される。のち四庫全書館の総纂官として編纂の事業を統括

前野直彬[マエノナオアキ]
1920年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学文学部教授、のち名誉教授。98年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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HANA

29
清代の怪談集の続き。上巻よりも鬼や狐の登場する話が減り、奇妙な因縁めいた話が増えているように思う。例えば盗賊に拐われた妻とその夫が互いに気付かたかった話や婚約者の妾になる話等、現在の感覚からすれば奇跡めいた偶然だが、当時の人からすればそこに人知を超えた力を感じていたのだろうなあ。もちろん鬼や狐も大活躍で、様々な場所に様々な奇っ怪な出来事を引き起こしています。巻末の訳者解説は著者の事から中国の鬼、狐の生態、科挙の実態についてまで詳しく書かれており、先にこちらを読んでおけば各話の内容がもっと深く理解できそう。2013/02/26

あたびー

25
#日本怪奇幻想読者クラブ 寝しなに少しずつ読んで随分かかって読了。巻末の解説はまたいずれ読もうかな。感想はだいたい上巻のときと同じ。以前の書物も出すつもりもなかったのに書店が勝手に出版したとボヤいているのが面白い。聊斎志異よりも身内が遭遇した怪異についての話が多く、実話系怪談として信憑性が高い気がする。こうした話は折々取り出して読みたいと思う。2021/04/20

アカツキ

13
清時代の怪異譚をまとめた「槐西雑志」「姑妄聴之」「灤陽続録」の抄訳。本編も良いけれど、解説も面白い。著者は「聊斎志異」の創作怪談小説的なところが気に食わず、自分の体験や人から聞いたままを書く実話怪談の形をとったのが本書とのこと。著者は部下に清書を頼んだら勝手に出版されちゃってーと書くが、いやいやわかってて原稿を渡したでしょとツッコむ解説。試験成績5位だったのに主席を追い越す出世をしただけあって抜け目ない。2022/10/01

澤水月

13
聊斎志異と双璧なす志怪小説、下巻はDV(SM?)に苦しむ妻、冥界も裁判のアヤなど現実と絡む人間の生々しい話多く、四角四面に凝り固まった道教(宋学者)からかい、人間らしい情あるものを良しとする傾向強い。聊斎志異は学問に破れ続けた者が若くから綴った“才子の筆”で書籍ではなく(公文館に収められない!)対して本書は宮廷で大出世、一度左遷受けながら復帰し功名得た老人の余技的な「小説(現代の語感と違い、ドキュメントの意)」であるとする解説が非常に面白く先に読めば良かった…。綺堂が翻案した話あったっけ(コレも抄録!)2022/07/17

misui

9
解説で中国小説史が簡単にまとめられている。六朝に始まった見聞風の怪異譚「志怪」、志怪に作者の創作を加えた唐宋の「伝奇」。宋代以降は俗語か文語かの別が生じ、一方は『水滸伝』『西遊記』の通俗小説、一方は志怪と伝奇の流れを汲む文言小説となる。通俗小説の陰で鳴りを潜めていた文言小説は『剪灯新話』を生むも低調で、『聊斎志異』の出現によって道を拓くことになる。本書『閲微草堂筆記』もそのひとつであり、フィクションへの批評的な態度を持った実録風の小説を確立した。2015/07/07

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