内容説明
繊細かつ鋭敏な感覚をもって文学の世界に遊び、独りあてもなく街を歩くことを好んだ素白先生。古き東京を慕い、また旧友を語るしみじみとした文章は、滋味溢れ、人生の深さを感じさせずにはおかない。温厚な人柄と、洗練された都会人の感性から生み出されたこれらの作品は、随筆文学の最高傑作である。
目次
山居俗情(読我書屋雑筆;田舎のうち;ゆく雲;山居俗情 ほか)
素白集(旧都秋景;山陰両日;湯島;春ちかき頃 ほか)
著者等紹介
岩本素白[イワモトソハク]
1883年、東京生まれ。本名堅一。麻布中学を経て早稲田大学卒業。麻布中学の教諭となる。のち早稲田大学文学部教授となり、随筆の講座を担当する。1961年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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慶多楼
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「愚人」「菓子の譜」「がんぽんち」あたりが好みだ。2011/06/19
月音
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素白先生と、親しく呼びかけたくなる。温厚で物静か。いつも難しそうな本を読んだり、書画に親しんだり。野の花を古い火消壺に挿して楽しむかわいらしさもある。読書に倦むと、杖を手にてくてく歩き。時は昭和初頭。江戸の余香が残る東京の裏通りや横丁、晩秋の明るい日差しにバスに揺られてゆく田舎道、しっとりと雨に煙る京の町、物さびた寺々。風景も人も少しだけ淋しく懐かしく、優しい。地図なんて持ってないだろう。偶然の、素敵な出逢いをきっと大切にしているから。──素白先生、今日はどちらまで?2022/09/24