内容説明
古えより秋に逢えば寂寥を悲しむ…月、菊、雁、紅葉など、詩の題材に事欠かない秋は中国古典詩では古来、悲しみの季節、であった。“断腸”や“愁い”を詠み込んだ数々の名詩、漱石が『草枕』に引いた陶淵明「飲酒」や王維「竹里館」、また杜甫の詠んだ「登高」は日本にはない秋の行事。ほかに「静夜思」「楓橋夜泊」など定番の名詩を満載。旅に、夜長に、最適のシリーズ第三巻。
目次
断腸の季節(白居易)
秋日 春朝に勝る(劉禹錫)
読書の秋(楊万里)
読書の本意(陸游)
悲秋(楊万里)
秋思(張籍)
空山(王維)
行商人の妻(李白)
歯がぬけた(韓愈)〔ほか〕
著者等紹介
一海知義[イッカイトモヨシ]
1929年、奈良市生まれ。中国文学者。旧制高校理科から京都大学文学部中国文学科に進学、高橋和巳らとともに吉川幸次郎に師事した。神戸大学教授、神戸学院大学教授を歴任し、現在、神戸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さたん・さたーん・さーたん
2
月の光、そよぐ稲穂、遠く霞む故郷の家族や友人。秋の匂いをそれぞれに感じながら、お気に入りの詩や詩人を探せる。2019/09/29
ダージリン
1
秋の詩は愁い、悲しさを扱ったものが多く、味わい深い。来たから飛来し冬が近いことを告げる雁を材にしたものが個人的にはなかなか良かった。2018/10/26
DEN2RO
0
秋の漢詩五十首余りを取り上げ、その成り立ちを説き明かすとともに、中国の自然や社会という、作品の背景になるものを端的に教えてくれます。杜甫、李白、王維、陶淵明など、大詩人のよく知られた作品の世界が鮮やかに描き出されます。どの頁からでも秋が味わえます。2016/12/17