内容説明
陶淵明、白居易から頼山陽、毛沢東まで、山や海、虫や風鈴、夕立や七夕など夏の風物や情景をうたった名詩に加え、漢詩の重要なテーマである友情、戦乱、そして子供・女性を詠じたもの、また古民謡、我々日本人が夏といえば追憶を禁じ得ない原爆や敗戦にまつわる作品など、計八十余首。心が深まる詞華集、第二巻。
目次
初夏―司馬光
さるすべり―楊万里
『山海経』を読む―陶淵明
麦秋―陸游
寝ござ―蘇舜欽
友情に応えて―白居易
友人を送る―李白
山―王安石
山を買う銭―呉偉業〔ほか〕
著者等紹介
一海知義[イッカイトモヨシ]
1929年、奈良市生まれ。中国文学者。旧制高校理科から京都大学文学部中国文学科に進学、高橋和巳らとともに吉川幸次郎に師事した。神戸大学教授、神戸学院大学教授を歴任し、現在、神戸大学名誉教授。著書に、河上肇の漢詩に初めて光を当てた『河上肇詩注』(岩波新書)など一連の河上肇論、また随筆などもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bittersweet symphony
1
一海知義(1929-)さんが季節をテーマに漢詩を紹介していく1978年に発売された2巻本がオリジナル、2007年に平凡社ライブラリーから4巻本として出たものの2巻目になります。春秋に比して夏冬はテーマとして取上げられる頻度が少ないとのことで(和歌にも共通した特徴だそう)、夏の巻では、日本ならではですが戦争をテーマとした作品でボリュームを補填している形になっています。名詩選的な本ではあまり取上げられることの少ないもの(日本人の作品も含め)が比較的たくさんピックアップされているのが特徴と言えば特徴。2013/03/07
ダージリン
1
本の中でも述べられているが、直接的に夏をテーマにした詩は少ない。その分季節に限定されず広範なテーマの詩が取り上げられているとも言える。春・秋・夏と読んできて、少し漢詩の雰囲気にも慣れてきたような気がする。毛沢東の作品とか変わったものもあって面白い。2018/11/12