内容説明
『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイスの思想を知るための最良の一書。「現役を引退した老悪魔が、人間を初めて誘惑する若い悪魔にほどこした助言」とは何か?第二次大戦とヒトラーを見据え、人間性についての深い省察が結実した代表作。
著者等紹介
ルイス,C.S.[ルイス,C.S.][Lewis,C.S.]
1898‐1963。アイルランドのベルファスト生まれ。オックスフォード大学で英文学と古典文学を学び、1925年よりモードリン・カレッジのフェロー、1954年~63年、ケンブリッジ大学の中世・ルネサンス英文学の教授。学問的著作のほか、神学的著作群、さらにファンタジー・SF・児童文学作品といった広範囲の文筆活動をおこなった
中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年、東京生まれ。翻訳家。1954年、東京大学文学部西洋史学科卒業。児童文学や英文学を中心に、訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゃんたか
17
先輩悪魔が後輩悪魔に担当の男を堕落させるべくアレコレと手を尽くすものの…。まずは悪魔の視点から神を「敵」と呼ばせ、逆説的にキリスト教の真理を明らかにする構成の妙が魅せる。論題は恋愛から史的イエス問題、戦争、教会生活と多岐に亘るが、筆の運びが無理を感じさせず、男を取り巻く人間関係や後輩悪魔の狼狽ぶりが紙背を透かしてアリアリと目に浮かぶ。極めつけは最後の大逆転。ここに至るクライマックスで、丹念に行方を追ってきた読者はカタルシスを禁じ得ないだろう。悪魔の存在を一度でも真剣に考えた事のある全ての人にお勧めしたい。2022/10/24
ヒロセ
7
すごい、の一言。「地獄へのもっとも確実な道は、ゆるやかな下り坂だ。足ざわりもわるくない。急に方向転換する必要もない、里程標も、道標もない道なのだ。」/「民主主義もしくは民主的精神(悪魔的な意味での)とは偉人のいない国家、ろくに本も読めないような人々、若いときにきちんと訓練を受けていないために道徳的な芯のない人々、無知なのにお世辞を言われてうぬぼれ、甘やかされて育ったために軟弱になりさがった人々が主体となっている国家なのです。われわれ悪魔は、すべての民主主義国家の国民がそのようであってほしいと願っています」2012/10/04
mametoume
4
図書館本です。友達のシスターのオススメで、「面白いよ」とのことで借りました。先輩悪魔から後輩悪魔への手紙が31通あり、続編の「乾杯の辞」がありました。先輩悪魔が途中巨大蜘蛛になって書けなくなり口述になったりして。いろんな話があったのですが、悪魔が嫌うのが「ファンタジー・音楽・詩」そして笑いの4種類"Joy,Fun,Joke in proper,flippancy"が記憶に残りました。4番目のは「軽口」と訳されてるけど、不適切発言って感じでしょうか。2025/02/18
Atsushi Sakamoto
4
現役を引退したベテラン悪魔から、はじめて人間を誘惑する若い悪魔への手紙。 翻訳の問題もあるかもしれないが、なかなか読み進めることができなかった。慣れないことばに戸惑ったか、単に好奇心をそそられなかったかどちらかだろう。しかし追記で綴られている『乾杯の辞』は何故か引き込まれた。2014/08/02
なめこ
3
ナルニア国物語が好きなのだけど、ルイスの作品はナルニアしか読んだことがなかったので。最近聖書を読んでいるので、ナルニアを思い出しながら読んだらすんなり頭に入ってきた。担当の人間が死んだ時、目が開かれた、うろこが落ちたさまはユースチスが竜のウロコを脱ぎ捨てた時のことを連想させるので、あのシーンはやはり洗礼だったのかなと。悪魔がなかなかユーモラスで憎めない。ワームウッド君は健闘したけどおじさんに食べられてしまったのかな…。トールキンに捧げられているところも興味深いと思う。2016/04/17
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- 電子書籍
- 週刊東洋経済 2014年6月14日号 …