出版社内容情報
幕末の日本は、こんなにも豊かで美しく、気持ちのよい国だったのか──。
各紙誌で紹介。読者の静かな共感の声が届く、日本人論の名著。
内容説明
「私にとって重要なのは在りし日のこの国の文明が、人間の生存をできうる限り気持のよいものにしようとする合意とそれにもとづく工夫によって成り立っていたという事実だ」近代に物された、異邦人によるあまたの文献を渉猟し、それからの日本が失ってきたものの意味を根底から問うた大冊。1999年度和辻哲郎文化賞受賞。
目次
ある文明の幻影
陽気な人びと
簡素とゆたかさ
親和と礼節
雑多と充溢
労働と身体
自由と身分
裸体と性
女の位相
子どもの楽園
風景とコスモス
生類とコスモス
信仰と祭
心の垣根
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年、京都市生まれ。日本近代史家。書評紙編集者などを経て、河合塾福岡校講師。熊本市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 6件/全6件
- 評価
新聞書評(2013年3月~2014年12月)の本棚
- 評価
テレビで紹介された本・雑誌の本棚
- 評価
新聞書評(2016年)の本棚
- 評価
新聞書評(2019年)の本棚
- 評価
新聞書評(2018年)の本棚
- 評価
-
読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
215
幕末の日本を外国人が初めて入って見た日本人論を集めたもの。当時の日本が如何にのどかで日々を幸せに生きていたんだろうなと思わせる1冊。逆に明治以降から今までの日本の方が息苦しいものを感じた。それも帝国主義の世界的な潮流に流されたものと思うが、この時の日本をまた取り戻せたらとも思った。2014/12/15
KAZOO
151
日本の近代を外国人の眼から見た文献を中心にして日本人がいかに苦労して近代化を図ってきたかを筆者は論じています。私もこの時代の文献はかなり読んできているつもり(アーネスト・サトウ、イザベラ・バード、トク・ベルツ、ニコライ、ハーンなど)ですが全然かなわない感じで読んでいて新しい発見があります。当時の(江戸時代から明治の)日本人の姿が活写されている気がしました。再読ですが何度読んでもいい本です。2022/12/04
Kawai Hideki
127
幕末から明治にかけて訪日した外国人の目を通して、近代日本と入れ替わりに滅びてしまった江戸期の文明の姿を浮き彫りにする名著。笑顔の絶えない大人達、礼儀をわきまえた子供の姿、女性の地位、風呂や風俗、堕落した宗教と無神論、自然や動物と人間の交流など、あらゆる角度で様々な観察者達の証言を積み重ねてゆく。西洋化されてしまった現代の我々から見ると、「地球の歩き方」を読んで、幕末の日本を「海外旅行」したような気分だ。ただ、幕末日本人が持っていた笑いと遊び心は、現代日本人のゲームやアニメに引き継がれている気がする。2014/11/27
優希
114
面白かったです。江戸末期から明治初期に来日した異国人の目から見た日本が語られていました。あの頃の文明などの面影は今となってはすっかり消え失せてしまったのかと考えずにはいられません。文明開化の前の日本ならではの古き良き風景は異国人の目にはどう映っていたのでしょう。今となっては失われつつある過去の美しい面影を心に留めておきたいと思いました。2016/09/30
AICHAN
90
図書館本。文体が古く読みづらい。偉そうな調子の文章が鼻につく。しかし、内容は立派。幕末から明治初期に来日した欧米人の目から見た当時の日本人の生活や習俗を紹介している。外国人の目に映った日本人はみな陽気で明るく、農民でさえも満ち足りた生活を送っていた。貧乏人は確かに存在するが、相互扶助によって貧困は存在しなかったという。この江戸期という文化の上に現在の日本は乗っかっているのだと著者は解く。確かにそうだ。2020/04/09