内容説明
アイヌを研究テーマとした東北出身の金田一京助が、言語学的・歴史的に考察する、北日本住民のルーツにかかわる主要論考。
目次
奥州蝦夷種族考
本州アイヌの歴史的展開
蝦夷とアイヌ―歴史的考察
蝦夷と日高見国
蝦夷名義考―カイ説の根拠について
アイヌの系統
北奥地名考―奥羽の地名から観た本州エゾ語の研究
山間のアイヌ語
義経入夷伝説考
アイヌの叙事詩に就て
著者等紹介
金田一京助[キンダイチキョウスケ]
1882年、岩手県生まれ。言語学者。国学院大学教授、東京大学教授を歴任。盛岡中学時代には短歌を詠み、与謝野鉄幹主宰の『明星』の同人となる。東京の大学の学生時代にアイヌ語に関心を持ち、その研究は、アイヌ語、アイヌ文学、アイヌ文化全般にわたって生涯続けられた。『アイヌ叙事詩ユーカラの研究』全2巻(東洋文庫論叢)で学士院恩賜賞を受賞。一方、国語辞典や教科書の編者としても知られ、現代仮名遣いについての提言も行った。1971年没
工藤雅樹[クドウマサキ]
1937年、岩手県生まれ。東北大学文学部史学科卒業。東北歴史資料館、福島大学行政社会学部教授を経て、同大学名誉教授。博士(文学)。東北歴史博物館館長
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感想・レビュー
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moonanddai
7
かつて縄文式土器はアイヌ式土器と呼ばれていたとか…。そのため古代にはアイヌが日本全土にいたという、当時の認識に対し、アイヌは東北以北の蝦夷のうち北海道に居住していたものであると、地名などから説明する。ただし、当時は考古学あるいは民俗学的な知見は深まっておらず、今から見れば「研究史上の存在」(P315)ということになるらしい。確かにアイヌ文化と直前の擦文文化との間には不連続があることが分かっており、北海道の蝦夷がそのままアイヌになったとは言えないが、様々な文化の交流がアイヌとなったとはいえるのでしょう…か。2024/05/24
ymazda1
2
金田一京助といえば、国語辞典の人ってイメージしかなかっただけに、地名だとか義経伝説だとか、言語学以外の方向からも、蝦夷やアイヌに対してアプローチしてるのには、ちょっと意外な感じがした。 知里幸恵・真志保姉弟は、金田一との出会いがなければ、まったく別の人生を送ってたんかなあって思ったりしてて、そんな三人の関係の一端が垣間見えたりするんかなって期待して読んだ本ではあったけど、そういった記述は、残念ながら、見当たらなかった。。。
Jムーン
2
言語学者金田一京助による本州の古代蝦夷についての論考から、その代表的なものを収録。1914〜1962年までの作品。東北地方に残る「アイヌ語地名」をもとに、古代蝦夷(エミシ)はアイヌ語を話していたと考えた「北奥地名考」を読むことができる。
三休
1
古代の蝦夷はアイヌ語を話していたのだからアイヌであると言う。明快である。ただし、地名が残された時期は不明である。考古学が有効であろう。2015/01/28
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