内容説明
宮沢賢治の作品をクレオール的な視点から読みなおす斬新な童話論。日本人にはめずらしい賢治の言語使用法や方位感覚などに光をあてると同時に、柳田国男や金田一京助ら、同時代人との比較をとおして、童話がもつ政治性をあざやかに分析する。
目次
1 森のゲリラ(東北文学論―植民地文学からクレオール文学へ;植民地の擬人法;植民地主義のはじまり;プロスペリズムの終わり ほか)
2 童話と歴史と残酷さ(空腹文学としての童話;ワンス・アポナ・タイム;ガラクタとしてガラクタに接する―私の方法叙説;ヘンゼルとグレーテルは回帰する)
著者等紹介
西成彦[ニシマサヒコ]
1955年、岡山県生まれ。東京大学大学院博士課程中退。専攻、比較文学。現在、立命館大学大学院教授
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感想・レビュー
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どらがあんこ
9
政治的な同時に地理的な宮沢賢治論。果たして賢治自身が変容していないのかと問い返す必要はあると思うけど。2019/09/04
ゆき
1
なんというか、目が滑る。ページを繰ってすぐ「クレオール文学って、何?」インターネットで検索しないと、凡庸な私にはこの賢治考察は読めません…。断念しました。 しかし、冒頭「宮沢賢治は世界の中間にいる。(中心ではない)」の一文にひきこまれる。言わんとすることはわかる気がする…。 浮遊する感覚、野にいながら先進的なセンスをもっっているところ。『銀河鉄道の夜』で死の世界から生の世界にひきもどされるジョバンニなどが目に浮かんだ。2014/03/06
今野ぽた
0
「宮沢賢治は世界の中間(中心ではない)にいる。東と西の中間、北と南の中間を振動している」の書き出しからグイグイ引き込まれる鋭い宮沢賢治論2016/12/17
ちろる
0
「童話」に感じていた疑問、童話って子供向けじゃないじゃん!意外と難しいじゃないのさ!てなことを説明してくれてます(別にそれだけじゃないけど)。けど、読むの難しくてツカレタヨー2008/07/27
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0
先住者と植民者という視点で、鮮やかに賢治の物語世界が、自分にとって変容した。2022/07/05
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