平凡社ライブラリー<br> アイヌ人物誌

平凡社ライブラリー
アイヌ人物誌

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 367p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784582764239
  • NDC分類 281.1
  • Cコード C0339

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

87
現在の三重県松坂市出身の松浦武四郎。伊勢中川駅からすこし歩いたところにある武四郎記念館。昨年は、アイヌの民芸品の展示会があり、何度も訪れました。学芸員の方の武四郎が、いかにアイヌの人達に寄り添って、北海道の開拓の実情に厳しい意見を持っていたかを紹介してくださいました。2彫物師モニオマ、17彫物師シタエホリ、2人の記述について,現代語訳を朗読。武四郎の著作のうち、近世蝦夷人物誌を現代文に翻訳したもので最初に読むのには読みやすい。農山漁村文化協会版では武四郎の挿絵があるとのこと。 2013/05/23

アナクマ

32
28.アイヌを従わせようとする和人が持ち込んだ論理「殿という方々は、天を照らす太陽と同じく尊い神様のお指図によってこられた…ためにならぬことは決してなさらない」。畑の開墾法や新奇な種子をもたらすがゆえに優位性が有るとするのは、文化のいち側面の差異でしかない。◉武四郎は、アイヌの人びとの有する別の面を愛した。しかし、皆が皆を尊重〈し合う〉ことの難しさ。ともあれ〈われは神(の代理)である。そして正しい〉には気をつけよう。2023/09/05

アナクマ

30
「探検家にして警世家、ノンフィクション作家」松浦武四郎による1840-50年代蝦夷地の実話集。「三分の一は和人の行動に対する悪口」というが、より正確には告発文。掲載されていないが「挿絵は蝦夷嫌いのお役人の欠伸どめ」のためだし、本書により「流罪に処せられるといったおそれ」も自覚していた。◉そこから先は、アイヌと和人の関係性、当時の習俗がよく分かる出来事と人物伝、そして「日本人の無残きわまる罪悪史」(更科源蔵)が、剛健な足跡と倫理観の証としてボリュームたっぷりに続く。スラスラとは、とても読めない。2022/02/19

アナクマ

29
備忘として抜粋。◉「男のアイヌは昼となく夜となくこき使って、耐えられず病気にかかれば雇蔵というところに放置して、一さじの薬、一杯の飯も与えずにおき…その日から餓鬼道の責め苦を受けて、たいていは飢えのために命を落としてしまう。死んだ者は、野山の土をわずかに掘ったところへ埋め、夜になってヒグマ、狐、狸がそれを食おうとも知らん顔をしているのが、当地の番人、支配人のやり方である」(p.173)→2022/03/08

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

16
和人が強いていた非道な行為により、困窮するアイヌ民族の姿が克明に綴られているこの書が幕府によって隠蔽されたのは当時の通念ではあたり前のことではあったろう。男はもとより妊婦までもが牛馬のように酷使され、住処は奪われ、娘は犯される。読むだけで引き裂かれるように心が痛い。我が物顔で自然の恵みを享受している我々は、数代遡っただけの北海道ではこれが日常であった事をせめて知るべきだ。助け合い穏やかに大地と共生してきたアイヌの人々がいかに勇敢で逞しく、にも拘らず和人により被った凶事を丹念に記録した世界で唯一の書である。2014/04/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/270148
  • ご注意事項

最近チェックした商品