感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
16
【バルトの刻んだ「信条」】使徒信条の刻み得た最高にして最愛の序文はローマ書に含まれる。その書簡が構成した信条は文学神話を崩壊させた。ドイツ語訳聖書ルターを否定することで彼の賭したかったもの、それが新約聖書正典化に直結、古典翻案聖書ウルガタを突破した最上位反駁はギリシャ語資料に拠るものではなく「福音」、つまりキリストの時代を復活させた。この根幹事実を否定し得ない機能を合理検証化させるバルトの方法は最大の鉄壁でもある。最愛の挨拶、キリストの死ではない確かな再臨の記録=事実、それを指摘した証言を死守する遺産−。2013/07/27
マウリツィウス
16
全ての「書簡」が『ローマ書』定義前提、そして改革史上では不可能とされたギリシャ語再現資料誕生によりバルトは一気に異端・異教・旧教・権威突破策を見出した。そして現代においてバルトは新約起源化された新教を古代教会へと直結=導き出された答はラテン教父と同等に立つこと。様式と刷新=ヨハネ福音書講解再現化により圧倒的イニシアチブを誇ることでローマ権威ごと旧教を挫き、グノーシスを新約カノン定義ごと葬り去った。NESTLE=ALANDは近代化意味だがBHS連携を兼ねる。この《言語領域境界線消滅》による方法論無形陣構成。2013/06/20
マウリツィウス
15
【バルト講解序論】「新約聖書の定義書≠講解」でありROMERBRIEFはドイツ語資料を適時参照した史論集成記録。新約聖書とはドイツ語由来である起源をルター翻訳から再出した古典語録がこの「講解」、新約と独語=LUTHER/BIBEL緊密の意味した告白形式ではない新約新教キリスト論が「ローマ書」を再構成していく。ギリシャ語訳出の規定を逸することなく呈示した欽定訳KJVの愚考を修正していく本資料の真骨頂は隣接ポイントで交差、派生記法は閲覧される古典諸録を提示させていく。独/希の二書対照と忠実反映が照明する奇跡。2013/05/28
マウリツィウス
14
【『ローマ書』真実】新約聖書を定本化したチューリッヒ聖書、ギリシャ語新約、そしてウルガタ訳、この三冊と「決定」。これを揺るがす源泉はすなわち旧約派生異端、ヘブル語そのものが呪術的でありユダヤ人の証言、冷酷にも彼らを選民思想から助け出せない自分を嘆くバルト、ここから最大救済論を一挙に「黙示録」に推進させる。黙示録がエゼキエルとなり、創世記事実はヨハネ福音内包、状況毎に主張根拠を転換させる技法をも呈す。多様見解詭弁を使い分ける軍勢をも欺く主張、この徹底神学論がヨハネを証明、マルキオンギリシャ語とは文法齟齬。2013/06/02
マウリツィウス
13
【『ローマ書』講解記録意義】NOVUM/TESTAMENTUM定義化以降の可能性問題として『新約聖書』ドイツ語化意義を否定したギリシャ起源グノーシスとの対峙追求性は確立事実として立塞がる。古典ギリシャ語定本を利用した参考土台にハルナックにも同様著作が論拠に掲げられる。従って反駁可能条件を占拠したとも呼べる「使徒信条対置存在」をバルトは否定し尽くす選択肢を選ぶ。多様化された論理引用を採用しなかった『ローマ書』はスケルトン上に「ウルガタ残影」を投射する。新約聖書起源グノーシス打開網を形成した『講解』に至る道。2013/07/22