内容説明
初期ギリシアから近代の幕明けまで曲折に富む西洋哲学二千年の歩みを主要思想家とその核心的教説を軸に一望する余人をもっては書きえない決定版通史。原典引用多数、文献表・索引完備。
目次
古代哲学の誕生
ソクラテス以前の哲学
ソフィストとソクラテス
プラトンの哲学
アリストテレスの理論哲学
アリストテレスの実践哲学
ストア学派
新プラトン主義
キリスト教哲学の起源
アウグスティヌスの思想
十二世紀の初期スコラ学
十三世紀のスコラ学とアリストテレスの受容
トマス・アクィナスの哲学
十四世紀の後期スコラ学
中世の神秘思想と近代への移行
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風鈴の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
63
中世までの西洋哲学の入門書。時代背景などについて触れながら各時代を代表する哲学者たちの思想を紹介する構成で、古典古代から中世までの思想史の流れを一体的に理解できます。思想も簡潔かつ丁寧にまとめられていて分かりやすく、興味深く読み進めることができました。またその流れを追う中で、哲学者たちは世界の根源や、そこに秩序をもたらす原理について、また人間の存在や幸福について問い、過去の偉大な思想家たちの思想を振り返り吸収し、同時に批判しながら真理へと歩を進めてきたことが実感でき、哲学が少し身近になったように思います。2020/12/01
zirou1984
47
期待以上の良書。それぞれの時代背景について触れながら個々の哲学者を取り上げられているため、一般的に馴染みの薄いヘレニズム~中世における思想史とはキリスト教がプラトン、そしてアリストテレスをどのように神学に吸収していくかの歴史であることがよくわかる内容になっている。また、アリストテレス以降につきまとう議論の難解さというものが中世末期のオッカムやクザーヌスらによって削ぎ落とされ、そこに見出された体系的思考法と数学における論拠の絶対性が科学へと繋がっていく様子が浮かび上がるのは感動を覚えるほどの発見であった。2015/05/25
Z
10
上智大の神学の教授の書いた哲学史の本。なかなか手強い記述もあるが、クザーヌスやエックハルト等神秘主義に近い人物やテルトゥリアヌス等ギリシャ教父やアレクサンドリア学派等、日本でマイナーな人まで紹介していて勉強になる。中世以降、世界史の流れも踏まえて説明されていて、思想史としてイメージしやすい。2016/08/25
呑芙庵
8
辞書的に使うのにとても便利でよくまとまっている。長すぎるスパンゆえ各項目は短いが、きちんと重要なところはかかれている。参考文献なども豊富で、のちの学習にも役に立つ。これはいい。2018/07/24
植岡藍
5
哲学の変遷、キリスト教への吸収などの流れが「存在」「知性」「魂」などの要点を押さえて簡潔にまとめられてるので理解しやすい。もちろん難しいところはあるものの、やや理解に苦しむぐらいがこういう本にはちょうどいい。取り上げられている哲学者はおおむね公平に取り扱われているのでここから気になるところを掘り下げるのにも良さそう。逆にコイツは何を言っているんだ?とツッコミをいれたくなる人もあるが、そういう事まで含めて公平。2016/11/10