内容説明
狐狸妖怪譚から庶民の風俗・犯罪まで、江戸後期の巷説奇聞を集めた随筆集。著者の根岸鎮衛は名奉行としても知られた。不思議な話・味のある話が大好きだった江戸人の姿が浮かび出る。
目次
禅気狂歌の事
下風道二斎が事
小野次郎右衛門出身の事附伊藤一刀斎が事
小野次郎右衛門遠流の事附御免にて召し帰られし事
有徳院様御射留御格言の事附御仁心の事
両国橋掛替えの事
盲人かたり事いたす事
悪しき戯れ致すまじき事附悪事に頓智の事
観世新九郎修業自然の事
妖気強勇に勝たざる事〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
10
江戸時代の聞き書きである『耳囊』十巻本、千ヶ条のうち、百数十ヶ条を削除したとあるが、東洋文庫版から、平凡社ライブラリーに代わるところ(2000年)で削除された物を追加して欲しかった、とくに、まじないや民間療法的なものは、古い文献のよみどころと思われるだけに残念。 旧字旧仮名を改め多少現代的に、文章をととのえてあります。 発音を意識して読むと、意味が取りやすいようですが、くだくだしく連なる言葉や、当時の事情などで、意味がよくわからぬ文章もあります。2022/05/11
眉毛ごもら
1
江戸時代の怪異の蒐集者として耳袋の抄訳は多く読むものの全文を読みたかったが絶版であった。なので電書を買うも読み進められず古書店にて紙本を発見したので購入。紙はいいねサクサクです。雑記というかゴシップ帳的なところもあるも小身ながら佐渡奉行、勘定奉行などの歴々を勤め上げた経歴から情報元は幅広い。怪異譚だけではなく病気への対応や孝行譚、過去の偉人伝、犯罪の手口など様々であり生々しいが面白い。江戸時代のため訳が無くてもそれなりに読めるのである。本人は見せたくなくて書き写しを止めてたと言うが面白いので残るわなぁ。2021/11/07