内容説明
花を訪ね、山を歩きつづけた八十余年の生涯。自然の楽園、尾瀬の紹介に努め、尾瀬の父とも呼ばれた著者の、青春の山旅、そして、山と植物に開眼した青春の日々。
目次
明治十六年‐明治三十三年(明治生まれ;箱根と伊香保 ほか)
明治三十四年‐明治三十七年(女貌山の再探;高尾山 ほか)
明治三十八年(日光から尾瀬へ;富士山を跨ぐ ほか)
明治三十九年(天城山と箱根;大菩薩峠の魅惑 ほか)
明治四十年‐明治四十五年(白崩山・甲斐駒・異同の実地検証;北海道内の採集旅行)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
13
絶版書を漸く入手でき嬉しい。尾瀬一帯の貴重な自然を再発見し乱開発からの保護に尽力したことで有名な植物学者・武田久吉博士の主に明治30年代における本邦各地の山々への旅を生き生きと記録した貴重なタイムカプセル。120年程前の未だ踏み跡まばらで豊かな植生を見せていた山々の姿、公共交通黎明期で山へのアプローチ自体が大変だった時代の牧歌的な旅情と日本人の姿など実に面白い。今は荒涼とした丹沢塔ノ岳頂上がウスユキソウとウメバチソウの群落に覆われていたことなど過ぎし星霜の重さをしみじみ感じる。詳細な登山地図など無論なく明2022/03/03