内容説明
人生の哀歓、自由な隠棲、そして激しい社会批判―。多彩な顔をもつ唐代の大詩人、白居易の詩の世界を、平明で正確、しかも味わい深い日本語に移した、漢詩翻訳史上屈指の名訳。
目次
むぎかりをみる
シカクホウのきたのむらにやどる
おれたけんのはし
つばめのうた―リュウじいさんに
わたいれ
みやこのうた・はしがき
けっこんについて
おもいねんぐ
すまいをなげく
ともをなげく〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
23
ネット読書会平凡社祭に参加するために読んだ詩集。普通漢詩は通常漢詩は読み下し文で読むとおもうのだが、この本は白楽天の詩を日本語に訳に、しかも名前と地名のみカタカナにあとはすべてひらがなに訳したというところが斬新。訳文もまた詩になっているのだが、なんというかこれはもう、白楽天の詩というよりは訳者である武部利夫さんの詩、翻案小説ならぬ翻案詩のようなものではなかろうか。訳詩の下段に小さい文字で原典も掲載されてはいるのだが。 漢詩を学ぼう等の意図ではなくそういうものだと思って読めば楽しめる。2016/06/29
マッピー
5
白楽天は、不幸な人々の友だちであろうとして、誰にでもわかる言葉で詩をつづることに努力をし、詩ができあがると女中のばあやに読んで聞かせ、意見を求めたのだそうです。本人によると、白楽天の詩は四つに分類されるそうだ。1.諷諭詩ー社会風刺の詩2.閑適詩ー「或いは公より退きて独り処り、或いは病に移せて閑かに居る時、足るを知り和を保ちて」吟じた詩。3.感傷詩ー「事物の外に牽かれ、情理の内に動くもの有り、感遇に随いて嘆詠に形わるる」詩。代表作は「長恨歌」4.雑律詩2014/12/22
ねこねこ
4
「この本に出会えてよかった」という書評をたびたび目にするけど、私にとってはこの本がまさにそうだ。漢詩を読むのは高校生以来。大河ドラマに感謝。武部利男先生の訳が本当にすばらしかった……。詩を読む喜びが体じゅうにあふれるような読書体験だった。子どもの頃のように声に出して読んだ。「連理の枝」という言葉は知っていたけど、「ながい うらみの うた」で実際に出会って泣いてしまった。「むぎかりを みる」や「わたいれ」の痛切さは胸が痛くなるほどだし、「わがまま きまま」「やさいを にる」は楽しすぎて暗記してしまいそう。2024/05/18
garyou
3
久しぶりに通読。飲酒の詩が多いなあとあらためて思ふ。酒の詩はいいよね。古典の授業で「ながい うらみの うた」を刷つたプリントをもらつて、でも授業で使つた記憶がなく、誰のなんといふ本に出てるのかずいぶんと探したものだつた。そんなことを思ひ出した。2016/05/23
garyou
3
「どうせ平安時代のお貴族さま好みの詩ばかりでせう」などとあなどつて読み始めると、諷喩詩に唸る。「新製布裘」は今も昔も my favourite だ。翻訳は須くかくあるべし。2012/03/14
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