内容説明
秋川は静かに流れる。こころよい瀬音が静寂を縫い、山襞に木魂を返す―島嶼部をのぞき、東京都にただ一つ残された村―東京都西多摩郡檜原村。山里を舞台に、自然のなかに生きる人々の暮らしを綴った「檜原村風土記」。
目次
第1章 村のあらまし
第2章 宿三村
第3章 南秋川
第4章 北秋川
感想・レビュー
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dilettante_k
1
1977年著。96年平凡社ライブラリーに収録。北端の奥多摩三山をはじめ、周囲を山に囲まれた東京都本州部唯一の村、檜原。主要産業である林業、養蚕が廃れ道路工事が進行するなか、著者は村内をくまなく歩き、体験に則して村史や自然の風貌、寺社の縁起、古老に伝わる伝承、村民の人となりを綴る現代風土記。戦前生まれらしく、随所に開発と政策への怒りを滲ませるが、檜原の人びとの不器用ともいえる朴訥さに寄り添う優しい眼差しを備えている。当時から人口は半分になり、コンビニは今も1軒もない。「里山」のあり様に思いをめぐらせる一冊。2015/10/13
yamakujira
0
これは力作だと思う。東京都に残された村を精力的に歩きまわり、山里の風土と暮らしを記録した民俗史。古老たちが鬼籍に入ってしまった現在では、ここまでの資料は得られなかっただろう。決して読みやすい本ではないけれど、貴重な記録だと思う。 (★★★★★)
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- 和書
- しめかざり