内容説明
離島、マタギ・木地屋などの住みなす山間の地、「新天地」北海道など、かつて粗かった交通・通信の網の目をこぼれ落ちた地域が、列島中に散在していた。そこには、過酷な自然を相手に黙々と闘う人々の暮らしがあった。
目次
第1章 島に生きる人々
第2章 山にうずもれた世界
第3章 北辺の土地
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
30
離島、奥山、北海道の開拓地、とりあげられた場所はどこも自然条件に恵まれぬ土地。この2巻は、外からその場所に入り、猛威をふるう自然や収奪しかしない支配者とたたかい、営々と生活を築き上げた(もしくは敗れ去った)人びとの記録。◇読み進めて、「知る」ということの力、不可欠さをしみじみと感じる。土壌の構造、作物の特性、農具の使い方、そして外の世界で何が起こっているか。生き抜くためには、知らなければいけない。それは、現在も決して変わらない。生命の危機まで至ることが少ないのはそれだけ、知るハードルが下がっただけの話だ。2015/07/20
ndj.
11
2では対馬、十島村や青ヶ島などの島しょ部、琉球、そして九頭竜川流域や北上山地の山深い地方、さらには北海道の初期開拓などを扱う。にしても薩摩藩による琉球の黒糖独占はひどいなあ…。明治に入ってもなかなか解消されないなんて。北海道の戦災疎開移民団もひどい。だいたいひどい話しかないのだけれども群を抜いてひどい。そしてそのかげでは誰かがうまいこと、利ざやを稼いでいるのだ。この構図は古来よりかわらない。2018/03/21
CTC
10
シリーズ本編5巻中の2は「忘れられた土地」。島や山、北辺の僻地での民の生活を描く。宮本常一の著作で読んだエピソードも幾つか含まれており、1巻の衝撃ほどには“残酷”さを感じなかったというか、少々慣れがあったというか。とはいえ…「異民族であるかのようにあつかわれ、忠君愛国の志乏しきことをことごとにあげつらわれ、一種の劣等感すら抱かされていた沖縄青少年にとって、“忠良なる帝国臣民”であることを身をもってあかしする恰好の機会」として、沖縄戦を迎えた方々を想うと堪らんですね。。2021/06/03
無職さん㌠
4
第二部のテーマは「忘れられた土地」。離島と山間部、北海道でのかつての日本の庶民の苦しい生活を活写している。印象に残ったのは、開拓時代の北海道は現在の豊かな酪農業、漁業のイメージとはかけ離れた過酷なものであったこと。北海道の過酷さと言えば酷寒と熊害を連想したもののそれだけではなく、土壌の特殊性、野火、雪解けの洪水、日照不足、害虫などが開拓者に次々と襲いかかる。試され過ぎる大地である。北海道の現代の食糧生産の豊かさは技術革新と先人たちの不断の努力の賜物であることがよく分かる。2016/05/21
nata
3
農業に全く疎い人間としては、土壌の性質による困難、虫や獣による害の深刻さは想像以上だった。沖縄の離島で最近まで鉄の使用が半ば禁忌とされていた話も興味深い。2018/05/07
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