感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
霊や動物たちと個人または集団を結びつけるヌアー族の宗教を観念と観念のシンボリックな関係として捉えた著者は、それら関係にも上位下位の序列があり、その最高位に、婚姻時の最重要財産でもある牛との関係が位置することを注視する。牛が最高位なのは神への捧げ物だからだが、その供犠にも社会的変化の確認と個人の安寧を願う贖罪の2種類あり、後者の供犠にヌアー族独特の神への姿勢が窺えると著者は考える。贖罪することで神に近づこうとする西洋と異なり、神を遠ざけようとするヌアー族の姿勢には災厄をもたらす神という神概念が見えるからだ。2024/03/06