内容説明
八歳の童女による出産、幼児虐待、同性愛、そして頻発する若者仲間の暴動…。時代の危機認識や、社会にわだかまる不満・不安を背景に、華麗かつ残酷な「事件の江戸像」が浮かびあがる。
目次
奇しき誕生(星になった少女;幸福の三つ子)
楽園の中で(子供の天国;惜しみない虐待)
遊びと反乱(子供戦争;革命伝説)
アナザー・カントリー(義兄弟の系譜;花咲く娘たちの力)
若者たちの領分(悪少年の時代;村芝居の風景;道祖神怒る)
制度としての逸脱(或る無宿の告白;芸人の旅と騙り)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
66
八つで妊娠し星になった少女、三つ子の祝福、虐待や子供が扇動する反乱、そして同性愛に若衆宿。江戸時代における若さの持つ霊力を様々な文献から収集した一冊。前半の様々な奇譚、冒頭の妊娠に纏わる話や三つ子が生まれた際の幕府の対応等も面白く読めたけど、本書の本領みたいなものが一番よく表れているのは、後半の義兄弟や村芝居を巡る部分だと思う。若さの持つパワーを持って共同体等既存の力と対立する部分が生き生きと描かれている。いつの時代も若さというのは野放図なパワーを持つな、ともう若くない身では羨ましさを感じたりしたり。2019/02/10
fseigojp
19
元祖ヤンキーは江戸にあった2017/05/06
印度 洋一郎
7
江戸~明治における子供(少年中心だが一部少女にも言及)にまつわる事件や奇譚を紹介。数え八歳の幼女が出産(父親は最後まで不明)した話から、児童虐待、少年同士の抗争や義兄弟(男色を含む)の関係、地域共同体の秩序を逸脱して揺さぶる若者達の行動など、ピュアでイノセンスな「子ども」像には括りきれない、アナーキーでダークな世界が展開する。特に、祭りや村芝居へのエネルギーとバイオレンスは、まんま現代のヤンキー層に繋がっている。江戸後期には、鉄砲で武装して藩の役人を襲撃し、物資を略奪して気勢を上げる少年達もいたらしい。2013/11/27
猫
2
う、、、微妙な感じ。流し読みました。2015/06/23
眉毛ごもら
1
再読。江戸(時代)の子供たち(と博徒無頼)について。江戸時代は子供の天国と言われるが八歳の女児が出産したり、薬として生肝を取られたり、外道な虐待もあったり存外天国でもなさそうである。また、子供たちも元気というか今の常識でいうと凶暴で印地打ちは当たり前として勝手に関所を設けて金品を巻き上げたり、男色の縺れで刃傷沙汰になったりアグレッシブ()である。パリピ的な人たちが祭りに金出さない有力者に打ち壊し仕掛けたり。別の一面としては女の子たちが上から下へ芸を学んで大名家の奥仕えに精を出してたり華やかな面もある。2020/05/26