出版社内容情報
毎日の食卓で、行きつけの喫茶店で、異国の地で味わう、一杯の珈琲。昭和の文豪や現代の人気作家によるエッセイ、詩、漫画、写真資料を収録。珈琲の香りただよう46編。
内容説明
茨木のり子、串田孫一、植草甚一、織田作之助、池波正太郎、林芙美子…珈琲の香りただよう52篇。
目次
1 珈琲のある風景(食卓に珈琲の匂い流れ(茨木のり子)
珈琲の木(小沼丹) ほか)
2 珈琲一杯の時間(山旅と珈琲(串田孫一)
タヒチ・パペーテの、インスタント・コーヒー。(片岡義男) ほか)
3 喫茶店よ永遠に(喫茶店で本を読んでいるかい(植草甚一)
コーヒー色の回想。(赤川次郎) ほか)
4 わたしの珈琲作法(“コーヒー道”のウラおもて(安岡章太郎)
下町の“コーヒー”(池波正太郎) ほか)
5 珈琲見聞録(「小倉から下関への渡航と下関滞在」より(シーボルト(斎藤信訳))
珈琲店、酒肆及び倶楽部(夏目漱石) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
180
紅茶は好きだがコーヒーはもっと好きな私。毎朝必ず大きめのマグカップで濃い目のコーヒーを必ず飲む。それが私の一日の始まり。何ともそそられるカバー写真は有吉佐和子さん。珈琲に纏わるアンソロジー毎晩少しずつ読んだ。30人以上の方が既にいない。多少読みづらいのは仕方ない。それだけ昔から飲まれていた証でもある。エチオピアの野生のコーヒーチェリー私も一粒摘まんで食してみたい。2022/04/14
パトラッシュ
144
長く英国で暮らした紅茶党の叔母は「紅茶は繊細だがコーヒーは荒々しい」と宣う。確かにコーヒーは興奮作用があるらしいから間違ってはいないが、人が生きる活力を与えてくれるのは紅茶よりコーヒーだろう。朝の1杯ですっきりと目覚め、仕事がだれた気分の頃に飲むとガス欠エンジンに燃料を注ぎ込んだ気分になる。その役割を紅茶が担えるとは思えないからこそ、日々創造の仕事に携わる作家もコーヒーを愛してやまないのでは。もっともバルザックや栗本薫さんみたいに、大量に飲んで馬車馬の如く書き続けて早死にした人もいるので断定は避けたいが。2022/03/16
シナモン
142
さまざまな作家さんによる珈琲にまるわるエッセイ集。表紙が素敵。見てると珈琲が飲みたくなります。喫茶店、インスタントコーヒー、外国での話などエピソードの背景もいろいろで面白かったです。沼田元氣さんの純喫茶愛50ヵ条がわかるわかる〜の連続でした。喫茶店でこの本を読んだらたまらないんだろうな。2022/04/23
コットン
83
近代・現代作家51人+1の珈琲に関するエッセイやコミック。コミックの水木しげる『ある一日』はそれっぽい一日。+1は『現代礼儀作法図説』より:珈琲のすすめ方/珈琲の飲み方。久しぶりな植草甚一や片岡義男も良かったが、夏目漱石の『珈琲店、酒肆及び倶楽部』が面白い。調べると岩波文庫『文学評論 (上)』のなかの一章のようです。2022/05/29
Major
65
ーレビューの代わりに僕も「喫茶店と珈琲」に寄せる想いをエセーもどきにしてみました。ー金閣も銀閣も、そして清水も記憶にない。真夏の日差しの下ただ歩いた。父の背中を追って歩いた。白壁の続く道を歩いていたような、、、。記憶にはっきり残っているのは喫茶店。仄暗いオレンジ色の部屋。テーブルにはコーヒー、薔薇の形の角砂糖、クリームソーダ、そして新聞と灰皿。いったい何件梯子したのだろう。思い出にはやや誇張の紗がかけられるものだ。その紗を取り払っても少なくとも4軒は梯子した。父の後を追うままに。→ 2025/05/20