内容説明
人はなぜ死を恐れ、それを否認・拒絶しようとするのか?フロイト、ランク、キルケゴールらの思想を手がかりにその意味を追求した〈死の精神分析〉。アメリカ文化人類学者による考察。1974年ピュリッツアー賞受賞。
目次
序論 人間の本性とヒロイックなもの
第1部 ヒロイズムの深層心理学(死の恐富;精神分析の基本概念の再構成;生死をかけた嘘としての人間の性格;精神分析学者キルコゲール;フロイトの性格的問題再考)
第2部 ヒロイズムのの挫折(人間がかける呪文―不自由の絆;オットー・ランクと精神分析によるキルケゴールの把握;精神分析の現在の所産;精神疾患の一般的見解)
第3部 回顧と結論―ヒロイズムのディレンマ(心理学と宗教―ヒロイックな個人とは何か)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GASHOW
5
ヒトは死を拒絶する本能を持っている。死をテーマにするとヒトは真剣にならざろう得ない。人類史で争いが無い稀有な時代を迎えている私たちは、生活から死を遠ざけてしまっている。話は、変わるが資料にヒトラーが美女に顔をまたがせ糞尿を浴びたというのがあって忘れられなくなった。2017/04/14
ヤスミン
4
1974年ピューリッツァー賞受賞作品。とにかく打ちのめされるようなすごい本だった。特にキルケゴールの章はすごい。かなりの収穫があった今年一番の読書体験だったかもしれない。2011/12/25
ヤスミン
3
再読。人生の意味に疑問を持たない人に対しては爆弾みたいな内容だが、いずれ死に対して向きあう必要があるのだから早いうちにこの本の試練を通り抜けた方がいいのかもしれない。実存的な問題を抱えている人には非常に示唆に富む本であることは間違いないだろう。実存主義、心理学と宗教とを結びつけたこの本の功績は非常に大きい。2012/03/14
さえきかずひこ
2
傑作。フロイト、ランク、キルケゴール、実存、救済などといったキーワードで心惹かれるあなたは読むべき一冊。すごいよ。2011/09/30
古田更子のデジタル脳味噌ミカンジュース工場ミキサー(時給800円要相談)@批評系YouTuber
1
全ては死を避けたい宗教にすぎない。やっと読了。ポスト・フロイトなやつ。オウム真理教や社会悪批判で、全部が宗教だぁ!と看破しちゃう。まあ考えてみればそうで、フロイトがなしてユングやクラウドバスターのおっさんを排除したいんだい?フロイト=東浩紀っていう。フロイト=東浩紀がエロスとタナトスに惹かれた事実から、死を受け入れること、宗教を受け入れることが、死批判、宗教批判もあるじゃんっていうヤバい内容。ただいささか古いし大げさな表現なので、重い腰をあげれる方たちのみご拝読を。2021/12/09