芸術(アルス)と生政治(ビオス)―現代思想の問題圏

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  • サイズ A5判/ページ数 298p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784582702613
  • NDC分類 702.06
  • Cコード C0010

内容説明

フーコーの提起からアガンベンやエスポジトの議論まで、「生政治」の閾を「芸術」の側面から鮮やかに照射する。私たちを取り巻く問題圏をその近代的な根源にまで遡る。

目次

1 ミュージアムとパノプティコン
2 絵画の「衛生学」―保存・修復をめぐる「生政治」
3 芸術の身体、生政治の身体
4 芸術作品は有機体か?
5 鑑定と鑑識―芸術的同一性と司法的同一性
6 生政治/死政治の彼岸へ

著者等紹介

岡田温司[オカダアツシ]
1954年生。京都大学大学院博士課程修了。京都大学大学院教授。西洋美術史。著書に、『モランディとその時代』(吉田秀和賞)、訳書にロンギ『芸術論叢』(全2巻、監訳、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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「芸術」と「生政治」の関係性が、近代を象徴する施設の両輪としてコインの裏表のように不可分に結びつくミュージアムとパノプティコン、を始めとして、絵画の保存・修復を巡る言説に紛れ込んだ「衛生学」的な視点、芸術の身体が観相学的な身体に与えた影響、芸術作品を評する際の「有機体」という比喩に潜むイデオロギー、絵画作品の鑑定とベルティヨンやロンブローゾに代表される鑑識法の比較、そして、生政治/死政治の領域では捉えきれないジェリコーの絵画、などを切り口にして語られる。2022/02/05

Mealla0v0

0
アガンベンの訳者による芸術と生政治を交錯させた論考。一見すると両者は何の関わりもないように思える。だが、そうではなかった。パノプティコンとミュージアムはともにまなざしの装置であり、絵画の修繕技法は生政治の権力‐知たる衛生学に負い、人体は解剖学に基づいて描かれるようになったことも、絵の鑑定と犯罪の鑑識の共通性も、すべて生政治の枠組みに芸術が無関係ではなかったことを明かす。絵画=機械とする見方からベンヤミンの無機質的なもののセックスアピールへとつなぐ技は圧巻。また、死政治に言及する数少ない日本語文献でもある。2017/05/26

yu-onore

0
興味深い本だった。見るものとしての自分を位置付けると同時に、相互に監視しあう権力にとって理想的な客体(身なりの綺麗さやナショナリズムなど)として観衆が位置づけられる場所としての美術館は収容所にも通じること、革命とリンクし政府の威信に関わるものとして成立した修復と、それとは異なるものとしての芸術の老朽化のある程度の肯定、統一感を感じさせるという絵の評価軸が全体主義と重なり合うようなものであり、それを見出すものとしてのバロック的なもの…2021/06/17

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