出版社内容情報
画家エドヴァルド・ムンクの画業の変遷と生涯、その深層を掘り下げる決定版的手引書。名画「叫び」ガイドからオスロを巡る旅まで。
田中 正之[タナカ マサユキ]
監修
内容説明
名画“叫び”の画家エドヴァルド・ムンクの画業とその生涯に迫る。
目次
名画“叫び”がもっと面白くなる4つの視点
第1章 クリスチャニア―絵画への目覚め
第2章 フランスへ―新しい表現を求めて
第3章 ドイツでの悪名と名声―「生のフリーズ」
第4章 版画の表現力―多彩な試み
第5章 彷徨の時代―苦悩と新たな展開
第6章 祖国へ―ノルウェー的主題の探求
創作の舞台、祖国ノルウェーをめぐる
ムンクの生い立ち
ムンクはいかにして「狂気の画家」となったか
著者等紹介
田中正之[タナカマサユキ]
武蔵野美術大学教授。1963年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。1990~95年ニューヨーク大学美術研究所に学ぶ。1996年より国立西洋美術館に勤務し「ピカソ 子供の世界」展(2000年)、「マティス」展(2004年)、「ムンク」展(2007年)などを企画。2007年より武蔵野美術大学に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南雲吾朗
52
展覧会を観に行くにあたり、ざぁと読了。絵画の描かれた状況を一通り頭に入れて、絵を観賞。百聞は一見にしかず。実際に観た絵からは、なぜかフェルナンド・ペソアの散文がが思い起こされた。2018/12/14
アキ
39
東京都美術館でのムンク展。やはり『叫び』が素晴らしい。実物の色使いや絵のパワーは凄まじい。ムンクの版画も木目を生かして味がある。「マドンナ」も良かった。性とエロスと生を描く「死と乙女」。自身の体験から常に死を意識して生きた。結核の芽と精神病に怯えながらも80歳まで生き、戦争時の爆風がきっかけで肺炎で死す。ノルウエーの自然を感じさせる鮮やかな色合いも印象に残った。できれば「思春期」が見たかったナ。2020年オスロの国立美術館は新築されるため、2019年1月から閉館となるらしい。貴重な機会。皆様お見逃しなく!2018/11/22
けんとまん1007
38
あまりにも有名な表紙の絵しか知らないのが自分。ふと興味を持って借りてみた。ここに至るムンク、ここからのムンク。印象が100%変わった。冷静に考えてみればわかることだが、ほんの僅かなことだけで決めてしまうのも・・・おいうこと。いろんなタイプの絵・作品がああり、暖かな、エネルギッシュは作品も素晴らしい。2020/01/27
てんちゃん
33
『叫び』と『思春期』の印象が強すぎて、私はムンクに一発屋くらいの印象を持っていました。いやいや、いい作品をたくさん残しているんですね。人物画は大変深みがあるし、大学に寄贈したような明るい作品も太陽のように眩しくてとても素敵。精神疾患を持ちながらも、それを自分の強みとして作品を生み出し続けた強かさ。繊細さ、タフさ、理性が共存した感じが魅力的です。ムンク展、行けば良かったなぁρ(・・、)2020/01/10
フム
23
ムンクの叫びが初来日しているという事で、そのうち観に行きたいと思っていたところ、図書館でこの本を見かけて借りてきた。オスロ国立美術館所蔵の《叫び》には画面左上に「狂人にしか描けなかっただろう」という書き込みが見える。誰が書いたか判明していないが、近年の研究で、ムンク自身の自己演出もあったのではないかとあり、まあそういうこともあるだろうと思った。どちらにしても、ムンクの生い立ちが病や死と隣り合わせだったことには間違いない。5歳で母を、14歳で姉を失う体験は、生と死を考えずにはいられなかっただろう。 2018/11/29