出版社内容情報
ナゾの浮世絵師の代表作「江戸名所道戯尽(どうけづくし)」全50点より、笑いと馬鹿馬鹿しさにあふれた江戸っ子たちの姿を満載!
内容説明
笑って、転んで、化かされて。江戸の人々のハプニングに満ちたユーモラスな日常。
目次
動物たちが大さわぎ
不意の災難
すってんころりん
酔っぱらいにご注意
不思議な生き物
とんだ大失敗
お笑いな日常
著者等紹介
日野原健司[ヒノハラケンジ]
太田記念美術館主席学芸員、慶應義塾大学非常勤講師。1974年千葉県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科前期博士課程修了。江戸時代から明治時代にかけての浮世絵の歴史を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんご
39
ペラリンコ。歌川広重ならぬ歌川広景の作品集。まあ実にバカバカしいんだけど浮世絵って楽しむものなんでしょ?だからとてもいいよ。広重の弟子とされてて、詳細はあまり分かっていないようです。広重や北斎の絵の構図が類似してる作品がちらほら。比較のため並べられてるんだけど、先輩方の絵の完成度が際立つwでもいいの。なんか教科書に落書きをするうちの子供を彷彿とさせるです。2022/02/04
sofia
34
歌川広重ではなく歌川広景(広重の弟子らしい)の浮世絵「江戸名所道戯尽」。出てくる人間はだいたいすっ転んでいる。広重の作品をうまく言えばオマージュ、悪く言えばパクリ。北斎と広重が一つの作品におさまり、すっ転んだ人がいるのは完全なパクリだろうが、この時代に著作権なんてものはない。こんなことをするのは文化的にゆとりがあるからだろうが、前書きを読むと、どうやら幕末の桜田門外ノ変が起きたころで、漠然とした不安があったと書いてある。2023/11/23
ケ・セラ・セラ
25
広重の弟子とされる歌川広景の《江戸名所道戯尽》全50点が解説付きで掲載。副題にもあるようにお笑い江戸名所。師匠の広重や北斎の作品を丸々模倣したり、パロディに仕立てたり。描かれた庶民の表情が豊かでユーモラスな姿が面白く、笑い声まで聞こえてきそう。こちらも愉快な気分になってきます。これは原画も観てみたいな。2021/04/04
buchi
15
電子図書館本。題名は『ヘンな浮世絵』だけどなかなか笑える浮世絵なので興味がない人にも是非見て欲しい1冊。歌川『広重』だと思っていたら『広景』だった。人の作品をパクってそこに笑いを加えた作品『江戸名所道戯尽』は興味深いけれど、広景という人物もとても興味深い。写楽同様とにかく詳細がよく分かっていないらしい。それでいて本書の考察はとても核心を突いているようで間違いないんじゃないかと思わせる。作品群の中には視覚障害者をネタにしたものがいくつかあって現代コンプライアンスの下では炎上しないかちょっと心配してしまうw2024/12/11
みさどん
15
文化作品は有名なものしか目にしていないので、こんなおもしろい作品もきちんと保存されているんだと驚く。転んだり失敗したりして起こる意外な様子を、有名な絵を模写したり参考にしたりして一枚の浮世絵に仕上げてある。女性の顔がまさに浮世絵の美人画で、男性や犬や異形のものなど、よくある絵になっているのでとっつきやすい。にしても犬の横顔はプロの絵描きならもっと描けるでしょうに、なぜに狸のようなのだろうといつも思う。こういった絵から昔の生活様式がわかるのだな。2019/10/13