目次
吉田健一―毎朝、家中の鐙戸を開け犬の散歩に出かけた。
山口瞳―雑木林で落ち葉掃き。江分利満氏の変奇館
澁澤龍彦―鎌倉の緑の中に佇むドラコニア
立原道造―没後六五年にして実現、ヒアシンスハウス
植田正治―おもちゃ箱のような家は撮影舞台にもなった。
清家清―名作「私の家」は風通しの良いワンルーム
井上靖―書庫には収まらず居間も廊下も本棚が並ぶ。
有元利夫―下町界隈の中世の香りがする家
高田喜佐―潮騒にカンパイ!海のそばの週末の家
熊田千佳慕―花や虫と会話する「埴生の宿」
石井桃子―月桂樹が目印、自宅に作った子ども文庫
種村季弘―ミカン畑に囲まれて居間には怪しい招き猫も。
岡部伊都子―細部に手仕事が残る昭和初めの京の家
釘宮対宕―愛鷹山のアトリエは天井高五メートル
長沢節―屋根裏部屋の住人はシングルライフの達人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
102
コロナ・ブックスの作家シリーズ。『作家の酒』、『作家の食卓』と読んできたが、作家の家も興味深い。家にはその作家の性質がでる。書斎の佇まい、愛用した小物、机、椅子、そうしたものが頁をめくるごとに私の目を捕らえて放さない。素敵な本です。次は『作家の猫』にするか『作家のおやつ』にするか、思案中である。2014/09/15
なる
50
井上靖、吉田健一、種村季弘、長沢節、澁澤龍彦ら15人の作家の生前の邸宅を紹介している本。今となっては一部を除いてほとんどの家は見学することができないので、ここに載っている写真はとても貴重だった。収録されている中では都内だと石井桃子邸(かつら文庫)は見学できた気がするので、いつか行かなくちゃな。秀逸なのはやはり北鎌倉にある澁澤龍彦邸。玄関から金子國義の絵が出迎え、ベルメールや加山又造、四谷シモンらの作品が溢れている。棚にはスカルヘッド。もう最高以外の何物でもない。巻末には実測図面も付いているのが嬉しい。2021/01/09
こなつ
28
ヒヤシンスの家が素敵だと思った。最後にそれぞれの図面スケッチがあり、しっかりと書き込まれた図面スケッチをみてただ単に写真集で終わった感じのしないものであった。やはり、しっかりと設計された家は素敵だし愛着持って住み続けられると家も息を吹き込まれたように思う。2016/11/01
メイ&まー
25
小説家だったり美術関係の大先生だったりの、家。面白い!いいなあ、いつまででも眺めていられる。ものをつくるひとのお住まいってみんなこんなに素敵なのかなあ。一概に立派、というんではなく、もののしまい方とか本の並べ方、小物のあしらい、庭、などなど…それぞれにこだわりがあるようで面白い。特に好きなのは立原道造構想のヒアシンスハウスと岡部伊都子さんのお宅。2014/07/08
がいむ
24
緑の多い庭、重厚な本棚、愛用された品々・・・。ぱらぱら何度眺めていても飽きない本です。一昔前の、薄紙に包まれケースに入っている本が実家の本棚を思い出してなつかしい。井上靖宅は文人というイメージ。山口瞳宅はサラリーマン出身のせいか仕事部屋、と感じます。高田喜佐さん、長沢節さんは、やはりおしゃれ!家の図面を見るのが好きなので、巻末の図面にワクワク!2013/01/07