出版社内容情報
和室は日本独自の建築様式として数々の特徴を持つが、近年は造られることが少なくなっている。日本家屋のシンボルとも言える和室の、将来性と存在意義を徹底的に検証する一冊。
内容説明
気鋭の論者11名による最新「和室」論。木材と紙の特長を十全に活かした、日本家屋のシンボルというべき和室の歴史と現状、そして将来への展望を示す。
目次
第1章 和室とは何か―近現代人の日本人にとってその空間と意味
第2章 和室の起源と性格
第3章 近世和室の豊饒な世界
第4章 茶の湯と和室
第5章 唯一無二の畳
第6章 明治維新以後の和室
第7章 モダニズム建築の和室
第8章 和室の現象学―いま「和室」はどうなっているか?
第9章 日本人の暮らし方と和室
第10章 和室の世界遺産的な価値
著者等紹介
松村秀一[マツムラシュウイチ]
1957年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。現在、東京大学大学院工学系研究科特任教授
服部岑生[ハットリミネキ]
1941年生まれ。東京大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。千葉大学名誉教授。現在、NPOちば地域リサーチ理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
26
▼和室の無い家が増えた日本だが、畳の寸法がドアの幅や柱の間隔を決め、その和室に依拠した日本固有の寸法システムが様々な建材や部品の標準化を生み、おかげで全国どこでもスムーズに家が建つが、そういう国はほかにないという話から始まって、日本人が忘れつつある「和室」の意義や有用性を再確認しようとする本だった。▼「和室」を世界遺産に値する唯一無二の存在と真面目に考える学者らを中心に、その発生の歴史や、畳や茶道との関係、明治以降の西洋建築との融合、戦後の住宅間取りの変遷など様々な視点で論じられていて⇒2021/02/01
アメヲトコ
6
20年10月刊。「和室」について、建築構法・建築史・建築計画学・建築設計などの各分野から、その特質と魅力について論じた一冊。日本人にとっては当たり前のようにあったと思っていた和室も、2010年代くらいから急速に減ってきつつあるとは。私はベッドがどうにも身体に合わないので和室がない住宅に住むなど考えられませんが、畳の文化の良さは将来も受け継がれて欲しいものです。2022/05/22
jackbdc
2
なぜ和室に惹かれるのだろうか?和室と言っても色々なタイプがあると学んだ。私の拘りポイントは、畳の香り、シンプルさ、庭や縁側と連続的に醸し出す雰囲気かな。広い間口を開け放して暑さ寒さを楽しみたい。雨の日に縁側に腰かけてお茶を飲みながら、ボーっと中庭の紫陽花と水溜りを眺めるなんてシチュエーションを夢見てしまう。この妄想によると、私は生活の中に四季や自然との物理的な接点を確保し、自分が自然の一部であると自覚する機会を求めているのではないか。茶室への憧れも延長線上にありそう。棲めなくていいからたまに借りたい。2020/11/14
Go Extreme
1
和室とは何か:近現代人の日本人にとってその空間と意味 和室の体験・過去の和室・スタイルとテイスト・日本人の和室意識 和室の起源と性格:書院造 座敷の形式と性格 会所 茶の湯と和質:自然と平等 市中の山居 唯一無二の畳 モダニズム建築の和室:和風の中の洋風と洋風の中の和風 入れ子の和室・改造の和室 和室の現象学:戦後の住宅供給の動向 和室の供給実態・現状と居住者ニーズ・希望 日本人の暮らし方と和室 和室の世界遺産的な価値:桂離宮と伊勢神宮 世界遺産の条件=不動産の実例であること 無形文化遺産としての和室2020/12/06
インテリ金ちゃん
0
和室に対しては洋室?部屋の大きさを示すのはまだ、x畳(敷き)というのが一般的か。和室が減るのは、床座=正座が好まれないからかなあ。2022/07/22