STANDARD BOOKS<br> 宮本常一―伝書鳩のように

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STANDARD BOOKS
宮本常一―伝書鳩のように

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  • サイズ B6判/ページ数 219p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784582531725
  • NDC分類 380.4
  • Cコード C0095

出版社内容情報

日本各地を歩き、漂泊民や被差別民、歴史の表舞台に姿を現さなかった無名の人々の営みや知恵に光を当てた「野の学者」宮本常一。膨大な著作のエッセンスを一冊に集成。

内容説明

深い体験は叡智を深いものにする―旅する民俗学者が見て聞いて歩いた、日本の原風景。

目次

地の声
旅漁夫
旅芸人
塩の道
石垣と民衆
共同井戸
すばらしい食べ方より
女の世間
土佐源氏
自然を見る眼
母の思い出
私の祖父
父親の躾
伝書鳩のように

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

85
表題作で自分の営みを「良い伝書鳩ではなかった」と仰る宮本氏ですが、それに首肯はできない。何故なら、彼が人々に聞き取って記録した書が読める限り、私たちはその時代を生きた人々の息吹をまざまざと感じる事ができるからだ。それは、偉大な事はなくとも自分なりに懸命に生きてきた人々を生かす事に繋がるのでもあるから。そして彼の記録を読むと人々に対する敬意と優しさが伝わってくる。だからこそ、宮本氏に人は口を開いたのではないだろうか。「土佐源氏」の盲目の乞食の艶めいた人生に潜む「人並みになれなかった」哀しみには胸を突かれた。2019/09/26

クリママ

50
民俗学者である作者が、民族探訪の旅行で見聞きしたことが語られている。村であれ町であれ、人々の暮らし、その風俗習慣、その人の半生や思いが、穏やかで謙虚な語り口で綴られる。特に印象深かったのは、中国地方の農村の石工、土佐の盲目の老人、最後部の氏の祖父、父親の話だった。そして、同じ時代を生きた私の父の話を聞いているようでとても感慨深かった。氏は素晴らしい伝書鳩だった。が、自然に溶け込み自然を愛した日本人の生活や、それを語り伝える人、そして、静かに聞く人がだんだん少なくなっていくのだろう。とても寂しい。2021/05/19

yyrn

20
宮本常一(07-81)の本は何度も図書館から借りたが、複数冊借りた本の中で最初に手に取る本とはならず、いつも少し読んだところで返却期間到来の繰り返し。他の人が評した『宮本常一が見た日本』((01)などを読むとやはり本人の本を読みたくなり、また借りるけどまた返却。やっぱり私には敷居が高いかなと思った時に新刊本コーナーで見つけた本。薄い本でエッセイ風で読みやすく、戦前の日本人の生活がありありと目に浮かび、人間のたくましさや知恵を再確認することができた。宮本はそれらが失われていく悲しさを静かに綴っていた。2019/09/14

ジャズクラ本

17
◎何の期待もせずに読んで、棚からぼた餅と言っては失礼極まりないが実に面白かった。昨今随時出版されている、この平凡社STANDARD BOOKSに概ねハズレ無し。宮本常一が50歳以降に綴った文章が主体で、円熟したものを感じさせる。丁度僕がこれからさしかかる年齢・山を切り崩して砂鉄を採ったのが黒鍬師。洪水などの公害防止にも従事。中国山中のみならず、木曽川、長良川、揖斐川の洪水のため、岐阜や愛知の平野にも黒鍬師は多かった。明治二十二年の大和十津川の大水害でも濃尾平野の黒鍬師が活躍。2019/08/04

あきあかね

16
 全国をくまなく歩き、放って置くと消え去ってしまう普通の人びとの暮らしや想い、生きた証を渉猟した宮本常一。その姿は表題の通り、「伝書鳩」のようである。 棚田の石垣として残るかつての石工が心を込めた仕事や、生活に欠かせない塩を求める人びとが海と山を繋いだ塩の道など、昔の人びとの痕跡は確かに現在にも残っている。それも一時のものでなく、幾世代もの人びとの営みが複層的に重なり合って、今眼前にある風景を形作っている。 悠久の自然と比べると、人間個人の生は遥かに小さなものであるが、民俗学によって過去から⇒2023/03/06

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