内容説明
若き熊楠が米英留学中に記した個人新聞。揺るぎない信念、溢れる痛烈と奔放。そこには既に後年の巨人・熊楠の片鱗が窺える。留学先での生活面に光をあてる実弟との書簡も交え、熊楠の熟成期が今明らかになる。
目次
凡例
珍事評論
ロンドン私記―在英日本公使館宛珍状
熊楠・常楠書簡
人物注
若き熊楠再考
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
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roughfractus02
9
大日本帝国憲法発布と帝国議会開設の1889年、民権から国権へ展開する明治日本から渡米した留学生に向けて、ミシガン州アナーバーに留学中の著者は『珍事評論』なる個人新聞(自筆の回覧新聞)を発行した。先行する留学生向けの回覧新聞『大日本』『新日本』にも関わった著者は、国権派の長坂(岡崎)邦輔(後の陸奥宗光の重鎮)らの留学生間の人脈政治への激しい反発から、『珍事評論』上に檄文調の戯文で痛罵し、戯作調の物語で激しく揶揄し、漢文調の仏教論で深く世界を正視する記事を載せる。丁寧に校訂された本書には弟常楠との書簡もある。2022/11/19
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