出版社内容情報
生まれたものは老い、やがて旅立つ。生を喜び、死を畏れ、死者を悼む――漢字に込められた人の一生の営みを力強い文章と情感溢れる絵で紡ぎ出す美しく体系的な漢字の世界。
内容説明
生とは何か。やがて人間は死ななければならない。生・笑・欲・愛・疑・老・死・朽・久・眞・鬼・虚…漢字に込められた人の一生。
著者等紹介
白川静[シラカワシズカ]
1910年福井県生まれ。立命館大学法文学部卒業。立命館大学名誉教授。2004年文化勲章受章。2006年10月没
金子都美絵[カネコツミエ]
1963年東京都生まれ。徳島県出身。画工。東京造形大学絵画科版画専攻卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ままこ
87
金子都美さんの品のある情感溢れる絵が美しい。白川静さんの文章を引用し人の生と死を漢字の成り立ちを用いて描かれている芸術的な大人向け絵本。2021/08/16
Koichiro Minematsu
52
生まれて、生きることは、老いて、死にゆくこと。素晴らしい絵本、いや、これは教科書に出会えました。素晴らしい本です。2023/06/22
しゅてふぁん
52
初めての白川氏。絵本だし分かり易いはず、と思って読んでみたけど難しい。文字数は少ないのに内容が濃くて情報量が多い。初めのうちは頑張って理解しようと励んだけど、途中からは「これはもう理解するとかじゃない、古代人になったつもりで感じ取る!」と気合で読み切った。とても哲学的でじ~っと金文を見つめているとその世界に入り込んでしまったのか何なのか頭がふわふわしてきた。金文・・・興味深いけど難しい。呪術的なものを感じた。2021/06/27
ちえ
42
以前、白川静の本を読もうとしたが難しくて途中挫折している。本書は「死」の文字を中心に白川氏の著作から、人の生と死に関しての文章を拾い出し、金子都美絵氏の絵で編まれた絵本。正直難しい文章も多かったが、漢字の成り立ちは深い。絵の美しさを堪能した。2021/10/30
井月 奎(いづき けい)
38
死へ向かう旅を続ける私たちの行く道を教えてくれます。とはいえなかなかの難物です。読み進めていくと死とは一人の人の命の滅することではあるけれども終わりということではなく、死によってつながる心や社会もあるのだと思わされるのです。そのことを漢字の権威である白川静の(難解だけれども)端正な文章、金子都美絵のシンプルながら(いや、だからこそ)美しい挿絵、そして象形文字でもある漢字の三つの要素を味わい深くしみじみと心に届けてくれるのです。 2021/08/19