出版社内容情報
本を書く、本を読む、本を編む思想を見定めるだけではなく、一群の本が作られることに、あれこれの本が禁じられることに、それらの本が集められること、求められ、貸し借りされること、弘められることのうちに現れる、人々の思い、考え、信のありようを見定める。思想史の新たな視界。
【目次】
総論 書籍の思想史 若尾政希
一 シリーズ〈本の文化史〉をいま出版することの意義
二 書籍研究への誘い
三 本巻で取り上げたいこと
1 天海の思想形成と『東照社縁起』の成立 曽根原理
一 最初の遊学
二 再度の遊学
三 会津から関東へ
四 『東照社縁起』における修学の痕跡
2 民を養う「牧民の書」 ――近世民政論の形成と展開 小川和也
一 「牧民の書」とは何か
二 『牧民忠告』の伝来と展開
三 「かくれた形」としての国郡制
3 「闇斎学」の享受者たち――跡部良顕を中心に 綱川歩美
一 病気との遭遇
二 和歌の学びと「情」
三 心身論の展開と出版活動の目的
4 明君録と幕藩政改革 小関悠一郎
一 明君録から見える政治と学問
二 松平定信・寛政改革と明君像
三 近世中後期の明君録
5 異安心事件と仏書出版 小林准士
一 異安心事件の続発
二 地域における論争の展開
三 『願生帰命弁』をめぐる論争の全国への波及
6 平田塾と地方国学――『天満宮御伝記略』とその影響 中川和明
一 『天満宮御伝記略』と御府内及び御府内近辺二十五天神
二 道真九百五十年祭と太宰府天満宮の建碑一件
三 菅原道真一千年祭と『天満宮御伝記略』の近代
7 洋学の思想――渡辺崋山と佐久間象山 矢森小映子
一 洋学と蘭書
二 渡辺崋山の洋学研究
三 佐久間象山の洋学研究
8 引き継がれる歴史研究――福住正兄と小室元長の交友から 古畑侑亮
一 箱根での出会い
二 文通による共同研究
三 役帳研究のゆくえ
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