内容説明
ノーベル医学・生理学賞に輝いたイタリア人女性科学者の自伝。北イタリアのユダヤ人家庭に生まれ育った少女は、いかに科学者として成功をかちえたか。次代の人々にむけて,自己の体験と生きた時代を率直に回想した本書は,激動の世紀を苦悩と歓喜の交錯のうちに生き抜いた一人のユダヤ人、女性科学者の自伝としてたぐいまれな感動の記録であり、またイタリア現代史に接近するための恰好の書である。作家ナタリア・ギンズブルグ絶賛。
目次
第1部 遺伝と環境(トリノ―王都、私の故郷;「自由に考える人間」もつらい;ヴィクトリア朝的な家庭で育まれた2つのX染色体 ほか)
第2部 苦難の歳月(多難な未来の前ぶれ;反ユダヤ・キャンペーンの開始―人種宣言;ロビンソン・クルーソー風の実験室 ほか)
第3部 新しい人生(アメリカ大陸に渡る;20世紀前半の実験神経生物学;未知の世界―アメリカ中西部と神経発生学 ほか)
第4部 祖国イタリアへ帰る(生涯にわたる愛情;奇蹟を起こした「マクスウェルの悪魔」;レーヴィ先生との別れ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
26
女性に教育は不要、ユダヤ人を排除する人種法などの時代に生きた女性科学者の人生。「自由に考える人間」であることを教えてくれた父親も素晴らしい人。そして生涯の師となる教授や多くの友達たちとの出会いが彼女の人生を豊かにしてくれたのだと思います。後半の神経発生学に関する記述も面白い。彼女が発見した神経成長因子というのも何億年もの進化の後に生命が獲得したものだと思うと生命の複雑さ、神秘さに改めて驚きを感じました。2021/11/15
エドバーグ
5
学術用語がこなれた訳になっていない。例えば「遊走」という用語。前後の文脈から自在に動く意味かと思うが、いきなり遊走が出現するとひくなぁ。それはともかく、著者が数々の困難を乗り越える過程は、文句なく素晴らしいと思いました。特に計画無く、知的好奇心のおもむくままに研究する姿勢は、短期間の成果にしかお金を出さない文科省の事務方トップに見倣ってほしい。2024/02/13
takao
2
ふむ2024/12/28
みこと
2
男尊女卑や人種差別など、決して恵まれた環境にはなかったが、著者はなんと豊かな人生を送ったことか!「サイエンスが私の人生を豊かにしてくれた」という述懐は、なんと謙虚で歓びに溢れているのだろう。すこしでもいいからこういう風でありたい。そして出てくる友人たちも一流の科学者達。とてもキラキラしたものを読んだ気分になった。2015/12/15
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