出版社内容情報
鎌倉時代の春日若宮の神主らが行った歌会の記録「春日懐紙」。その裏面は、万葉集の書写にも利用され、古い万葉集写本となった。この特異な資料のスリリングな書誌学。
内容説明
春日懐紙は、鎌倉時代の南都奈良の和歌世界を知らせ、しかも書写年代の明らかな古い万葉集伝本でもある、きわめて重要な文学資料。しかしその伝わり方は、時代による価値観の変化にも関わり、損傷もこうむり、断片化もし、一枚の紙を表裏二枚に剥ぐ相剥ぎの加工も受けた。伝存資料の精密な調査により、その書誌的な変遷を明らかにする。
目次
1 懐紙から万葉集へ
2 万葉集面の消失
3 春日懐紙の保存状況
4 春日懐紙の範囲
5 裏表が別々に残る例
6 確定した裏と表
7 作者を欠いた春日懐紙
著者等紹介
田中大士[タナカヒロシ]
1957年、浜松市生まれ。筑波大学大学院文芸・言語研究科博士課程中退。博士(文学)。現在、日本女子大学文学部教授。専門は、日本文学、とくに上代。万葉集伝本論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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