出版社内容情報
『戦艦ポチョムキン』の監督は知の巨人であり、大量の文章を残した。膨大な草稿までを踏査し、その理論・方法を明かす世界初の試み。
内容説明
広汎な知的渉猟により科学としての芸術と芸術理論の科学とを統一する第三の科学構築をめざしたエイゼンシテイン。いまだアーカイヴに眠る厖大な草稿をも踏査してその実践(理論・方法)を明かす世界初の試み。映画はひとつの科学である。
目次
第1章 ФОНА1923(アーカイヴへ/から;エイゼンシテイン・メソッド;球体本)
第2章 映画作法1(前提;モンタージュ)
第3章 映画作法2(内的独白;クロース・アップ―pars pro toto)
第4章 ヴィジョン(線のダンス;再風景化―陰陽、偶数‐奇数;偶力―円・球)
第5章 感覚的思考(原論理;精神工学;表現運動)
著者等紹介
大石雅彦[オオイシマサヒコ]
1953年生。早稲田大学第一文学部卒業。文学博士。現在、早稲田大学文化構想学部教員。専門は文化記号論、ロシア・アヴァンギャルド芸術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エンピツ地獄
3
フロイト、ジョイスとくる言語の無意識の構造の可視化と映像化とがイコールになった感じのモンタージュ理論、共感覚、黄金比の析出、オカルティズムなど、疑似科学に耽溺した各部を積み上げて「総合的スペクタクル」を目指す、モダンで巨大な知性に驚愕。ナチスもビンビンだったというから前衛芸術は侮れんけれども、パラダイムに依存するとはいえ、効果を受け取るまえに効果への期待を受け取ってしまいそうな映像の一貫した圧しつけがましさは、本書が高次のレベルとして現代をシミュラークルで括る志向に類比的。でもお役立ち情報は満載でした。2015/11/13