出版社内容情報
ギロチン社、大杉栄らとともにアナキズムと深く関わりながら“かたぎやくざ”として生き、日本映画史の揺籃期から全盛期を駆け抜けた侠客・笹井末三郎の生涯を描くノンフィクション。
内容説明
やくざとアナキストが奇妙に同居した映画界の草創期の群像。
目次
「天久」爽春譜
千本組誕生
明治から大正へ
川崎・三菱両造船所大争議
末三郎出奔
大杉栄と「血桜団」
ギロチン社事件
大堰川の決闘
日活撮影所時代
宮嶋資夫出家の波紋
マキノトーキーの興亡
長二郎遭難
千本組分解
岡本潤追放
松本常保との再会
「琴姫七変化」前後
故郷へ
著者等紹介
柏木隆法[カシワギリュウホウ]
1949年岐阜県土岐市生まれ。花園大学史学科(仏教史)卒業。中部読売新聞、河合塾、愛知大学講師。市川白弦に師事して独自の近代仏教史を研究。現在は中外日報等に執筆しながら病気療養中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポルポ・ウィズ・バナナ
2
侠客、アナキスト、共産主義者、そして映画!!イデオロギーは違えども国家からはみでた者達が国家を利用し利用されての丁々発止のやり取りはリアル水滸伝である(笹井末三郎氏のポジションも梁山泊頭領宋江ぽくもある)。とにかく正史(?)ではみえないストリートの歴史。2014/01/04
Pio
0
大正昭和の社会運動史にからむ「やくざ」の変転、それ自体興味深いものだが、映画の世界という自分の好きなものを舞台にしているので、大部の著なれど巻を置くを能わずという感じで読み終えた、と言いたいとこだが、いろいろ調べもんしながらだったので、結構かかった。「大正」という、祖父祖母の青春時代に当たる時期に興味がわく。とにかく労作にして面白い作品だった。2016/10/30