内容説明
不滅の名画を、徹底分析!マリリン・モンロー、シャーリー・マクレイン、オードリー・ヘプバーンをいかに輝かせたか。天才ワイルダーの脚本・演出に仕掛けられたテクニックの秘密に迫る。
目次
第1章 『お熱いのがお好き』(ワイルダーは突飛な設定を好む;冴えわたる演出のテクニック;神は細部に宿る(1)―小道具・小さな設定や要素)
第2章 『アパートの鍵貸します』(驚異的に張り巡らされた伏線群;神は細部に宿る(2)―小道具・小さな設定や要素)
第3章 『昼下りの情事』(まず、パリが“恋の街”であることを強調する;いかにして純真な娘にプレイボーイを翻弄させるか;神は細部に宿る(3)―小道具・小さな設定や要素)
第4章 ワイルダー映画のヒロイン=女優論(ワイルダーはどんな女性をよく描くか;『お熱いのがお好き』のマリリン・モンロー;『アパートの鍵貸します』のシャーリー・マクレイン ほか)
著者等紹介
瀬川裕司[セガワユウジ]
1957年、広島県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、明治大学教授。専門は映画学およびドイツ文化史。主著に『美の魔力レーニ・リーフェンシュタールの真実』(パンドラ、2001年度文化庁芸術選奨新人賞)、など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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林 一歩
6
ニール・サイモンとかビリー・ワイルダーとか実はとても好んでDVDとか借りて観るのですが、共に三谷幸喜氏がお気に入りってのが気にくわない。2012/07/07
Chisa
1
取り上げられている三作を観てから、この本を読んで、さらにまた映画を観返したくなった。著者はよくそんなこと気づくなあと思うような細かいところまで指摘していておもしろい。2016/05/12
fritzng4
1
改めてワイルダーの作劇と演出の巧みさにうならされた。手間のかかる分析に敬服するが、○○であるために○○という設定ないし演出がなされた、ばかりのロジック運びが少し退屈だったのが本音。2014/01/31
kikizo
1
ワイルダーの映画の中でも傑作の3本を細かく解説。モンロー、マクレーン、ヘップバーンの代表作ばかり。僕の大好きな「アパートの鍵貸します」の解説は秀逸。この3本見たことない人は、損していますよ。3作とも大好きで、何度も観ています。「アパート・・・」に関しては解説しているシーンがすぐに思い出せることもあり、より一層愛着を持ちました。ただ一点。あまり重箱の隅を突くのはどうも・・・少し控えた方がいいのでは(笑)2013/05/05
角
1
小林信彦の「世界の喜劇人」はキートン、マルクス兄弟などのギャグを精緻に解析した本であった。本書を読んでふとその本を思い出した。本書は「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」「昼下りの情事」におけるワイルダーの仕掛けと脚本、演出の巧みさを緻密に論じたもの。これらの映画を最後に見てからもう10年以上経つが、読むにつれてあの場面、この場面が鮮やかに、また紗がかって、瞼によみがえってくる。これらの映画を観返してたまらなくなり、「昼下りの情事」のテーマを脳裏で再生しながら、そわそわしている自分がいる。労作。2012/11/17