出版社内容情報
見知らぬ町のアパートで牝猫のニチェヴォと奇妙な同居生活を始めたルチオ。そこには無味乾燥な昼と対照的に安らぎの夜であった。だがある晩……。間近の破滅を予感しながら、なすすべもなく成り行きに流されてゆく男を描いた表題作『呪い』。他に『片腕』『イグアナの夜』など11篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YO)))
20
抒情的でありつつエッジの効いた短編集で読みごたえがあった。男色とマゾヒズムに彩られた暗黒のマッサージものポルノ『欲望と黒人マッサージ師』が出色。書名に原題の『片腕』を取らなかったのは川端康成の短編集と紛らわしいためと解説にあるが、そこ気にする必要ある?と思った。2021/08/22
aries
1
どの物語も自分の中にすっと入って、すっと消えてしまう。そこに不快さは全くない。時に共感するも、あっという間に消えてしまう感情が何となく哀しい。2022/02/17
くさてる
1
孤独の色が濃く立ちこめる短編集。およそ60年前の作品だけれども、時代に関係なく、人間に普遍なひとつの感情を浮かび上がらせている世界が、ここにはある。それは、とても寂しい。人間と他者の関わりの意味について、沁みとおるように考えさせられるものがあった。2011/07/06
FAVORI
0
★★★★☆ こういう作品をもっと文庫で出して欲しい。不器用で孤独な困ったちゃん達。青春オチかと思いきや呆気ない突き落としの「ガラスの少女」、読みながら孤独の濁流に飲み込まれた「呪い」、最後に小さな光が見えた「片腕」が★。「黄色い鳥」の語りが可笑しい。 2016/02/17
いなもと
0
※再読2010/04/21