内容説明
フィチーノあるいは美と叡智を目指す魂のダイナミクス。フィレンツェ新プラトン主義のトポグラフィー。
目次
序論 フィレンツェのアカデミーとマルシリオ・フィチーノ
第1部 芸術(地上に示現せる神―普遍的人間としての芸術家;プラトン的逆説と芸術の心理学;オルペウス的知と魔術)
第2部 美(宇宙的逸楽と光;ルキダ・プロポルティオ―輝ける比例;世界の2つの相貌―人間と天;光満てる宇宙;教説の現実的効性―アルペルティからパチョーリへ)
第3部 芸術家(エロス―熱狂せる神;ヘルメス―寓意;サトゥルヌス―天才)
結論 アカデミーにおける芸術神話と芸術史(プロメテウスとオルペウス;プラトン・アカデミーとフィレンツェにおける芸術史の始まり)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みか
1
「愛とは、美によって引き起こされた欲望である」。愛について、プラトンはそう定義しています。快楽だけがあって中心に美がなければそれは愛ではなく、動物的欲望となってしまう。一方で、情熱とは縁のない美だけでは、抽象的な単なる物にすぎず、愛を喚起しないのです。マルシオ・フィチーノが提唱し、ルネサンス期の芸術に大きな影響を与えた新プラトン主義は、このプラトン的愛が根底にあるのです。2006/08/07
アカシア
0
フィチーノの思想の「美」の側面を詳説。フィレンツェのプラトンアカデミーについても非常に詳しくて、名前くらいしか知らなかったためとても勉強になりました。訳が難解で多少読みづらいかもしれませんが、他のルネサンス思想本を併読しながら理解してゆくと、とても密度の高い本であることがよくわかりました。2010/01/16