出版社内容情報
作品「横たわる少女」などで著名なアーティスト。さまざまな〈境界〉を越えてきた生い立ちや作品誕生の秘密に迫る初の自伝的回想録。「横たわる少女」や海を描いた絵など瞑想的な作品で世界的な評価を受けるアーティスト。
さまざまな〈境界〉を乗り越えてきた生い立ちや作品誕生の秘密に迫る初の自伝的回想録。
イケムラ レイコ[イケムラ レイコ]
著・文・その他
内容説明
絵画・彫刻・ドローイングなど多岐にわたる表現によって人間の存在を根源的に問い続け、「横たわる少女」など瞑想的な作品を生み出し、世界的に高い評価を受けるアーティスト・イケムラレイコ。知らない土地、知らない人、違う人種、違う思想、人間と動物・植物、男と女…。さまざまな“境界線”を超えて表現される作品誕生の秘密に迫る、初の自伝的回想録。
目次
海の子
伊勢
旅
スペイン
スイス
ドイツ
山
帰る場所
境界線
オリジン
未知
著者等紹介
イケムラレイコ[イケムラレイコ]
三重県津市生まれ。ドイツ在住の美術家。大阪外国語大学スペイン語学科中退、スペイン・セビリア美術大学に入学、ファインアート科を専攻。その後、チューリッヒ(スイス)、ニュルンベルクを経て、ベルリンとケルンを拠点に活動。1991年から2015年までベルリン芸術大学絵画科教授。2009年アウグスト・マッケ賞を受賞。2014年ケルン・ファインアート賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
69
現在、国立新美術館でイケムラレイコの「土と星」の個展が開催されている。イケムラはスペインのセビリア美術大学で絵を学び、チューリッヒ、ニュルンベルクを経てベルリンとケルンを拠点に活動している美術家だ。本書は絵に向かう彼女自身の心の風景をも描いた半自叙伝エッセイである。伊勢の海のそばで育ち、視覚的な境界は水平線だというイケムラ。境界線はぼやけ、区切りがはずれてゆくような体験、目の前の水平線を超えたいという感覚がよく絵に現れてくる。「私は曖昧さこそ、可能性をはらんでいるのだと思う。曖昧なことは決して悪いことでは2019/03/15
ネギっ子gen
57
【現実を忘れて夢中になれる、そういう時間が必要だった】 ドイツ在住の著名な美術家。生い立ちや作品誕生の秘密に迫った、初の自伝的回想と作品紹介(口絵8点と本文内17点)。最終頁掲載の「うさぎ観音」は、滋賀県立陶芸の森の庭にある。著者は、「うさぎ観音の分身をつくって世界中に平和の祈りを捧げたい」と。<幼くして、人間の悲しみを知ってしまっていたように思う。/私は家の中に居場所がないと感じていた。目の目に広がる海との対話や、自然の中に入り込み小さな生き物を観察することが、私にとっても居場所であり、癒しだった>。⇒2023/03/20
けんとまん1007
49
淡々と綴られているようでありながら、決して、柔ではないものを感じ取れる。暮らす場の変化を愛おしむ心を感じる。どこにも属さない・・・この意味を考える。それぞれの場を受けれながら、やはり、生まれ育ったところへの思い。わかるような気がする。2022/06/21
くさてる
13
タイトルに惹かれて手に取りました。著者のことは何も知らなかったのですが、70年代に大学生ということは、いま60代かな?日本で生まれ育った少女が成長と共に海外を目指し、異国の地で美術と向き合う過程が記されています。伝記のような内容ではなく、著者の折々の心情が硬質な文章でつづられています。甘さのない、かといって無味乾燥でもない言葉が良かったです。作品も何作か掲載。2019/05/05
煎茶
2
長田弘さんの詩を読んでいるような気分になる、実直率直な気持ちのいい本。本棚に置きたい。2024/05/14