出版社内容情報
――「卒業アルバムの個人写真、もっと自由に撮らせてくれん?」
友だちのいない“暗すぎクラギ”こと蔵木のもとに、学年一の人気者・星野がそう提案してきた。
決まった構図ではなく、一人ひとりの個性が光る、自由な写真が並ぶ卒業アルバムにしたいというのだ。
実家が卒業アルバムの制作を請け負う写真館で、自身もプロ並みの腕をもつ蔵木は、しぶしぶながらその撮影を引き受けることになる。
人との関わりが苦手な蔵木にとって、人物写真は最も避けたいジャンルだった。
それでもシャッターを切るうちに、同級生たちの意外な一面が次第に見えてくる。
ときに衝突し、ときに心をかき乱されながらも、蔵木は少しずつ他人と向き合い始める。
内容説明
カメラマンには、責任がある。僕は、僕が持つ力を、正しいことのために使いたい。だから。「僕は」精一杯の覚悟で言う。「星野君の味方でありたいよ」
著者等紹介
天川栄人[テンカワエイト]
岡山県生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。第13回角川ビーンズ小説大賞にて審査員特別賞、第9回集英社みらい文庫大賞にて大賞受賞。『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(ともに講談社)で第48回日本児童文芸家協会賞受賞
くまおり純[クマオリジュン]
京都生まれ。主に小説や児童書の装画を中心に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪丸 風人
14
ラストの心地よい騒がしさに、幸せ気分を分けてもらえました。解像度バッチリの青春小説ですね。主人公は暗すぎ蔵木と呼ばれる中学三年生。カメラマン志望だけど人物写真の苦手な彼が、陽キャ男子の発案で型破りな卒アル作りに巻き込まれます。迫力ある場面がくっきり像を結ぶ描写力!いかにみんなの個性を引き出すか、突きつめていく中で、少年が気づきを得ていくさまが心地よいですね。瞬間を切り取るだけじゃないポートレートの奥深さには、何度もハッとさせられましたよ。スイッチが入ったときの主人公に注目!(対象年齢は12歳以上かな?)2025/07/01
くま美
3
卒業写真を自分たちで撮影して作る!面白いテーマの本でした。2025/07/14