内容説明
「…もう、誰も好きにならない」前を向いたまま、胡汰が言った。「つらいだけだ」さらに消えそうな声でそうつぶやく。でも、あたしはなにも言えなかった。だってあたしも、胡汰と同じことを思ったから。人を本気で好きになれば、思い通りにいかないことがあるんだってこと。自分の『好き』と相手の『好き』が、同じ種類とは限らないってこと。胡汰は本気で翔也くんが好きなのに…。
著者等紹介
イノウエミホコ[イノウエミホコ]
愛知県に生まれる。『学習塾グリーンドア 生徒が生徒を募集中!?』(ポプラ社)でデビュー。「季節風」同人
ふうき[フウキ]
東京都に生まれる。桑沢デザイン研究所卒。DTP・CGデザイナーとして勤務したのち、2018年よりイラストレーターとして活動を開始。以降、書籍の装画をはじめ、WEBや雑誌など各媒体でイラストを制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白雪ちょこ
12
小学6年生のミニバスチームに所属している、ワトとこた。 2人が思う、「好き」の違いを青春とともに 綴られているところが、良かった。 女の子だから男の子を好きになる、男の子だから女の子を好きになる、といった普通の事への違和感。 LGBTに気づいてしまった、心の揺らぎや苦しみなども、細かく綺麗な描写で描かれていて、こたの思い悩んでいる複雑な表現などが、思い浮かぶほどだった。 それに対し、ワトとお姉ちゃんの理解力のすごさにも感動。 二人は良き相棒となるような、希望に溢れた描写もとても良かった。2024/11/23
史
3
2023年刊行であるということを踏まえましょうかな。少年と少女の『好き』という感情の物語。これが別のジャンルであるともっと意地悪な展開+ロマンスになっていたと思うのですが、児童文学なので……ね。悪い意味で時代ありきな作品だと感じ取れてしまった。深刻にしすぎなんですよね。それと緊張感がありすぎます。この少年期と思春期の狭間の時期であるならば、数多くある恋心の一つであるくらいの軽さでも良いと思うんですがね。児童文学であるならばある程度の軽さは欲しかった。なんとも。2025/03/12
gero
1
推し;同性愛;バスケ教室 小学生のバスケ教室に教えに来てくれる翔也くんのファンになったワトと胡太は推し友になり、互いに情報交換したりファントークする間柄になります。やがて胡太は自分の好意のかたちが人とは違うことに気づきます。タイトルどおり様々な好きについての話ですが超難解です。これは私が「推し」という価値観をいまいち把握できてないせいです。でも好きに恋以上のバリエーションがついてるのも二人の友情を成立させたのもそのおかげとすると、推しネイティブ?の心の豊かさは少しうらやましいです。→2025/03/31
えぬ吉
1
別の絵本を借りるときにタイトルに惹かれ、とっても可愛い表紙だったので一緒に借りてきた。ワトはめっちゃいい子。翔也くんへの思いが後半でぐるぐる変わっていくのに私も共感。私も子供レベルの恋愛観しか持ってないので…。胡汰とワトの、翔也くんへの好きという気持ちを通じての友情が微笑ましい。遊園地の話で、ワトが胡汰に自分の黒い気持ちをぶつけたときに、こういうネガティブな気持ちも共有できる友情っていいなぁと思った。2024/06/19