内容説明
「このガキどもが。よけいなことをしやがって。あの金を見られちゃあ、このまま帰すわけにはいかねえ。もうすぐ着く無人島で、おりてもらおう。なーに、心配いらねえさ。ちゃんと世話係を一人つけてやるからな。」「…。」こわくて言葉もないぼくら。世話係をつけてくれるというのをよろこぶほど、ぼくらはすなおな子どもじゃなかった。その意味することを、想像したくはなかったけれど、頭の中に「殺される」という声が、いつまでもこだましていた。小学中級から。
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