出版社内容情報
りぼんちゃんはさ、オオカミといっしょに暮らしているんだよ
朱理のクラスに転校してきた大きなりぼんの女の子、理緒。
クラスでお子ちゃまあつかいされてきた朱理が理緒のお世話係になり、
朱理の世界はあざやかなものへ変わった。
けれど、ある出来事から理緒がかかえていた痛みを、暗闇を、
朱理は知ってしまう。
この世にあふれている〈オオカミ〉とたたかうには?
朱理が、理緒が出した答えは---?
村上雅郁、20代最後に贈る「祈り」の物語
内容説明
りぼんちゃんはさ、オオカミといっしょに暮らしてるんだよ。朱理は、友だちの理緒がかかえていた痛みを、暗闇を、知ってしまう。この世にあふれている“オオカミ”とたたかうには?
著者等紹介
村上雅郁[ムラカミマサフミ]
1991年生まれ。鎌倉市に育つ。2011年より本格的に児童文学の創作を始める。第2回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作『あの子の秘密』(「ハロー・マイ・フレンド」改題)にてデビュー。2020年、同作で第49回児童文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
77
児童書。YA。叩かれない、ご飯もある、学校にも行かせてもらえる~でも「私が悪い子だから」と子どもを追い詰めるのは明らかに虐待▽小6の染岡朱理(あかり)は小柄で幼い印象からクラスのマスコット的存在で”あかちゃん”扱いされていることが不満。でも転校生の理緒(りお)は朱理を「染岡さん」と呼んで頼りにしてくれるので朱理は嬉しくなる。理緒のことが知りたいと踏み込むと、実は理緒が父親を恐れていることに気づく。子どもの言うことだからと、大人は朱理の話を聞いてくれない。どうしたら友達を救うことが出来るのか▽2021年刊2024/03/12
ゆのん
74
【児童書】密かに推している児童書作家・村上雅郁さんの作品も本作で3作品目。先の2作品も好きだが、本作が1番。今回扱うテーマは『虐待』。体が小さく親や友達から子供扱いされる主人公がとっても素敵な子で大好きになる。転校生の友達の為に頑張る姿が健気で良い。微笑ましく読んでいた物語もラストでは号泣に変わる。人として、大人として、親として学ぶ事の多い作品だった。次回作が待ち遠しい作家の1人。児童書が好きな方にはお勧めの作家。2021/06/11
はる
68
とても良かった。ほのぼのとした雰囲気から始まるが、終盤に一転、極めて深刻な展開になる。この物語の魅力は何といっても主人公・朱理。友達への思いやりと優しさ、そして勇気。友を救うために懸命に走る姿に読んでいて胸が熱くなる。緊迫した展開にページを捲る手が止まらない。追い詰められた朱理の思いついた戦い方が素敵だ。読み終えて表紙と裏表紙を眺めると、思わず涙腺が緩む。2021/09/20
がらくたどん
66
これは「りぼんちゃん」ちょっとお澄まし顔。裏表紙を是非ともご覧にいれたい!おかっぱ頭の小柄な女の子が渾身の変顔。それが「あかずきんちゃん」。あかずきんちゃんはりぼんちゃんが泣き顔にならないように泣きそうなのを踏ん張って変顔してるの。でね、りぼんちゃんはあかずきんちゃんが変顔のまま泣いちゃわないように微笑んでるの。まだ小学生なの。でもすぐそこにいるオオカミに食べられちゃう前になんとかしないといけないの。「知識は暗闇を照らす光」なんだって。だから勉強するね。だからね、大人はもっと勉強して助けてね。というお話。2022/12/16
ぶんこ
54
親による虐待は暴力とは限らない。転校生の理緒は、父の凶暴性と母のその場しのぎの逃げの姿勢から逃れられない。誰かに頼りたい、話したいと思っても、知られた後の親の仕打ちが怖い。そんな友の窮地に果敢に挑む朱理。理緒の危機に駆けつけた朱理は、期待していなかった家族が意外にも話を聞いてくれて助けてくれて、救うことができました。保護されていた間に理緒は「知識は暗闇を照らす光」と知る。父の苦しみ、理解して助けてくれる多くの大人、絶望ではなく希望もある未来と知った。知ったことは大きなことだった。本当に良かった。2021/09/29