内容説明
木下広葉、潮風第一中学校一年A組、栽培委員会。上層、中層、下層。スクールカーストのなかで、ぼくも栽培委員会も下層だ。そしてぼくは、マスクをしないと、家から出られない…。
著者等紹介
ささきあり[ササキアリ]
出版社勤務を経て、フリーランスの編集記者に。仕事と育児のかたわら、児童文学の創作にいそしむ。『おならくらげ』(フレーベル館)にて、第27回ひろすけ童話賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
82
良い感じだった。栽培委員会、素晴らしい活動。的確なアドバイスで自治が成り立ち、それぞれに責任を持つ。植物は世話をしないと枯れる。水をやりすぎても枯渇しても育たない。植物に合った時々の肥料、花がら摘み、切り戻し。植物の世話が下手だから耳が痛い。庭のペチュニア、切り戻したら少し元気になった。天地返し、やってみよう。これまでにマスクをしないではいられない生徒を何人も見てきた。「可愛く見えるから」という理由の女子もいたけれど多くは色々抱えてマスクが拠り所になっていた。今年はそのマスクが新生活習慣。どうなるのかな?2020/08/04
☆よいこ
48
新しい町で中学に通うことになった木下広葉(きのしたひろは)は、マスクを外せない中一男子。人の目が気になる、自分だけが取り残される気分、落ち込みそうな気持ちをマスクで覆うことでなんとか乗り越えている日々だった。そんな中、栽培委員になった広葉は、植物を育てていく中で変わっていく。寂しげに植わっている花を見て、どこか自分に似ているような気がしてきた。▽おりこうYA。思春期の少年の心がゆれうごく様子が丁寧に書かれていて読みやすい、けど教科書的。花壇の花をアイドルに例える先輩のセンスは面白かった。2019/02/22
雪丸 風人
15
まわりとの間に壁を作って、自分を守ろうとする少年が主人公。つらい体験をして、マスクがないと不安で外に出られなくなった彼が、中学に入り、栽培委員として活動するうちに、一歩、枠の外に出てみたいという気持ちになっていきます。傷つくのを恐れ内向きだった彼が、最後には「相手を知ろうとすることと、心を開いて自分を知ってもらう努力をしないと、親しい関係なんて築けない」と気づくところが良かったですね。自分を息苦しくさせていたのは他ならぬ自分自身だった。そうわかった少年の変わりように注目です。(対象年齢は11歳以上かな?)2020/10/10
びすけっと
13
2018年11月刊。図書館での出会い本。自治的な雰囲気が高い委員会活動、いいなと思いながら読み進めました。消去法で選んだ委員会だけれど、そこで出会った同級生も先輩も変に介入することなく、主人公を認めてくれているところがとてもうれしく感じました。このような関係で学校生活が送れたら、前向きになれて、日々の生活が楽しく過ごせそう。2020/09/09
学び舎くるみ
13
陰湿なイジメの話だったらどうしようと、心が元気な日に身構えて読んだ。マスク依存症な広葉の視点で栽培委員会の活動やクラス行事が語られる。上層とか下層とかあるんだ?と驚いた。中学生の人間関係って観察だけに頼っていると緊張感が半端ない。目立ちすぎないよう浮かないよう細心の注意を払ってターゲットにならずに済むように振る舞う。当然、そんな心配をしているのは自分だけじゃない。そう信じて自分らしく無理せずに人と関わっていくしかない。それにしても、うちのヘチマは元気がない。季節はずれだけど天地返しからやり直そう。2019/05/12