内容説明
「虫なんか調べて、何になる?」どんなに人から言われても、著者はもう50年以上、もくもくと虫の研究に取りくんできました。いろいろな虫をさがして野原を歩きまわり、山では徹夜で虫を採集、鍾乳洞にもとまりこみました。やがて、多摩動物公園に世界最大の昆虫生態園を設立。現在は、広大なフィールドをもつ「ぐんま昆虫の森」の園長をつとめます。著者がこれほど虫にひかれ、のめりこんでいったのは、いままでだれにも語らなかった戦争体験による心の傷が、大きく影響していたのです。虫一筋に生きてきた人生をつづりながら、昆虫という生きもののすばらしさ、そして人生の不思議さ、おもしろさを、大いに語ります。
目次
昆虫のドラマに魅せられて
遊びあいては、昆虫たち
悲惨な戦争がはじまった
五つの「トラウマ」
一日中、じっと浮きを見つづける
「昆虫記」を書こう!
夜の山で、孤独な戦い
ガをおって、鍾乳洞にとまりこみ
遊園地に昆虫館をつくる
幻の映画『小さきものの世界』
多摩動物公園に昆虫館を
「インセクタリウム」創刊
東京にホタルをふやそう
昆虫生態園会園
新しい夢「ぐんま昆虫の森」
つづけることは、おもしろい
昆虫に学ぶ生きかた
著者等紹介
矢島稔[ヤジマミノル]
1930年、東京に生まれる。終戦直後から昆虫観察を始め、身近な種類の生態の謎ときに興味をもつ。1949年、良き師を得てコンクールに入賞。大学で昆虫学を学びながら多摩の山々で徹夜で灯火採集をつづけ、虫とその習性を知る。1956年、はからずも昆虫生態館の創設を依頼され、1961年に多摩動物公園昆虫園を開設。その後、全国昆虫施設連絡協議会を設立し、技術の向上に努めている。その一方で、著書やテレビ、ラジオを通して、昆虫の面白さや環境との関係を紹介。小動物を守るためには、相手の生活条件を知り、それを残すことが必要だと説き、「生物弁護士」を自認している。1999年から群馬県立ぐんま昆虫の森園長。同園は2005年に全面開園の予定
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