内容説明
1960年代の北京。フランス人外交官ルネ・ガリマールは『蝶々夫人』を演じる京劇の歌手ソン・リリンに激しく心を揺さぶられる。やがて愛し合うようになった2人を、文化大革命の嵐が翻弄する。ソンは姿を消し、ルネは失脚して中国をあとにする。数年後、パリで失意のうちに酒浸りの日々を過ごすルネの前に夢にまで見たソンが姿を現わす。再び至福の日々。しかし、思いがけない運命の逆転が…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hikarunoir
6
屈折した東洋女への憧憬はともかく、完全な愛は信じる己の幻想の中にしか存在しえない点では、映画の世界観に普遍性と強度を補ってくれる。2017/07/17
れじーな
2
何とも不思議な話でした。これが実話を許としているというのだから、正に事実は小説よりも奇なり、です。女優(実は女装した男スパイ)に惚れた外交官が何年も肉体関係を含む愛人関係を続けながらもその正体に気付かない、というのが一番の奇妙さですね。外交官を手玉に取る女優はしかし表面的には男に支配される女であり、西洋に蹂躙される東洋の姿です。男女の愛の裏で密やかに語られる東洋の西洋に対する復讐劇でありながら、それでも愛の話であるというが凄いです。結局二人はお互いに幻想に溺れていた訳なんですが。2010/07/15
空蝉
0
1960年代の中国が舞台。フランス人外交官と京劇の女優の恋愛と思いきや、彼女は男!外交官は全くそれには気が付かなかったと言う…奇想天外な話。 主人公のルネは自分の描いた幻想をこれまで強く愛せると…なんだか彼の事が気の毒ならない。 女優になりきったソンは冷淡にこの事実を暴露していたが、8年間、彼はどんな気持ちだったのだろうかー一応説明はあったが人ってそんなもんじゃないと思うばかりであった。 文化大革命、パリの学生運動も書かれていて時代を感じました。 2021/05/14